「安全のため」重すぎる設備、重すぎる人の負担――地方鉄道の“三重苦”を救う「シンプル化技術」の数々 あとは政策だけ?
赤字、設備の老朽化、そして人手不足に苦しむ地方の鉄道。その三重苦を技術が解決するかもしれません。重すぎる設備を軽くすることが、持続の糸口になりそうです。
自動運転化のメリットは「地方鉄道のほうが大きい」もっともな理由
日本初のATO(自動列車運転装置)開発に携わった鉄道工学リサ-チ・センター最高顧問の松本陽博士からは、自動運転技術が紹介されました。
鉄道はハンドル操作が不要で、信号装置が衝突を防ぎます。そのため自動運転は自動車に比べて単純で、人件費削減と要員不足の解消が期待され、きめ細やかな制御によるエネルギー消費の削減、高頻度運行、乗り心地向上ももたらします。特に地方鉄道は乗客あたりの乗務員数が都市鉄道に比べて多く、無人化による人件費削減のメリットが大きくなります。
都心部では、日本初のATOが1976(昭和51)年に札幌市営地下鉄東西線(琴似~白石)で運用され、現在はホームドア設置区間を中心にTASC(定位置列車停止装置)も普及しています。地方鉄道が目指す自動運転化は、JR九州の香椎線がモデルケースとなっています。香椎線には第1種踏切があり、ホームドアがない既存地上路線でのGoA2.5が実用化されています。
保守の効率化、無線制御による地上設備の簡素化、そして自動運転による人手不足の解消は、実現すれば地方鉄道の安全と持続可能性を高めます。
また、このシンポジウムでは富山大学の金山洋一特別研究教授より、「地域鉄道を社会基盤として捉え、地域全体の収支で判断するパラダイムシフトが必要である」と説かれました。技術と共に、政策の進歩も望まれます。
Writer: 山田和昭(日本鉄道マーケティング代表、元若桜鉄道社長)
1987年早大理工卒。若桜鉄道の公募社長として経営再建に取り組んだほか、近江鉄道の上下分離の推進、由利高原鉄道、定期航路 津エアポートラインに携わる。現在、日本鉄道マーケティング代表として鉄道の再生支援・講演・執筆、物流改革等を行う。





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