大きくて強い!「トランプ級戦艦」複数新造へ ミサイル大量搭載+レールガン・“レーザー砲”まで 米政府の狙いは?
現代のアメリカ海軍に「戦艦」が再び加わる模様です。なぜなら、トランプ米大統領が公式発表し、アメリカ海軍も全面的に肯定しているからです。いったい何が起こっているのでしょうか。
大統領の政策に合致した戦艦の建造プロジェクト
とにかく圧倒的なのがミサイルの投射能力で、CPSが期待通り「前方展開部隊に頼らずに、地球上のあらゆる標的を短時間で通常兵器により攻撃する能力」を発揮するなら、まさにトランプ級はミサイル戦艦と呼ぶべき存在となり得ます。
事実、海軍はトランプ級戦艦にBBGという分類記号を用意していますが、これはBB=戦艦とG=Guided Missile(誘導ミサイル)を組み合わせたものなので、まさしく「ミサイル戦艦」という意味になります。
もっとも、現時点ではトランプ級戦艦がどこまで具体的になるのか不明です。莫大な予算だけでなく、労働者の確保を含む造船所の能力にも疑問が残るからです。ズムウォルト級ミサイル駆逐艦や、コンステレーション級フリゲートなど、2000年代以降のアメリカ海軍が計画した新型艦艇建造プロジェクトが、ことごとく失敗しているのも懸念材料です。
ですが、トランプ政権には別の思惑もあります。国内産業の復興を掲げているトランプ政権としては、裾野が広く、雇用への影響が大きい造船業の復興は、もっとも成果が出しやすい分野の1つです。大型主力艦の大量建造となればなおさらでしょう。
海軍の将来像を巡る議論の中で、フェラン海軍長官は「大きく美しい船」として戦艦を望んだのはトランプ大統領であったと説明しています。廉価で高性能なマルチロール艦という呪縛に囚われ失敗続きの海軍としては、大統領の要求は渡りに船。発展の余地に恵まれた大型艦であれば、将来の装備の追加や性能強化も容易です。また政権の思惑通り、造船業が復興すれば、海軍艦艇の整備性も良くなり、結果として海軍の戦力向上に繋がります。
トランプ大統領は間もなく新型戦艦の建造が始まり、2年半後に就役すると説明しました。さすがにこれは乱暴な話で、どんなに順調でも起工は2030年以降というのが専門筋の見方です。そのため、トランプ大統領による突然の発表は、これから始まる長い物語の予告編みたいなものと言えるでしょうが、計画が進展するにつれ世界のパワーバランスに大きく影響することは間違いありません。
Writer: 宮永忠将(戦史研究家/軍事系Youtuber)
1973年生まれ、上智大学文学部史学科卒業、東京都立大学大学院人文科学研究科中退。 雑誌編集者、ゲーム会社ウォーゲーミングジャパン勤務等を経て、各種メディアにて歴史・軍事関連の執筆や翻訳、軍事関連コンテンツの企画、脚本などを手がける。Youtube「宮永忠将のミリタリー放談」公開中。





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