「日本最北の駅そば」は結局どこ? “常設の日本最北”を食べて旅に出たら「廃線」にたどり着いた件

かつて全国各地の主要駅にあった「駅そば」ですが、その数は年々減少しています。「日本最北の駅そば」の称号は、ちょっと、ややこしいことになっています。

「常設の日本最北の駅そば」の“本場”に行って食べてみた

 旭川駅で駅そばを味わった翌日、“本場の幌加内そば”を食べたくなり、旭川からさらに北に向かいます。目的地とするお店は幌加内市街から約25km、1995年に廃止となった深名線の旧添牛内(そえうしない)駅のそばにある「霧立亭」です。旭川市街からは雪降る道を1時間20分のドライブでした。

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「旭川駅立売商会」は、この「幌加内そば」の看板と幟が目印。駅弁も扱うが、午後には売り切れることもあるようだ(植村祐介撮影)

 お店に着いたのは12時を回った時間、幌加内市街を過ぎてからはすれ違うクルマもほとんどなかったにもかかわらず、店舗前の駐車場には何台ものクルマが止まっていて、その人気がうかがえます。ただ積もった雪のため「どこまでが駐車場なのか」を判断するのにひと苦労。同行者がいれば、降りてもらい誘導してもらうのが早道で、かつ安全でしょう。

 こちらでも掲げられている“幌加内そば”の幟を横目に店内へ。店内にはオーナーの趣味でしょうか、深名線にちなんださまざまなグッズが売られています。

 席につき、卓上のメニューを見ると、田舎のお食事処らしく、そば以外にも牛丼や天丼といった品々が。もちろんいただくのはそば、なかでも“そばの実蒲鉾の天ぷら”という謳い文句が目にとまった「そばかま天そば」を1.5人前の「ちょい盛り」でお願いすることにしました。

 しばしの待ち時間のあと、運ばれてきたおそばとご対面します。丼はかなり大きめ、しかし4つ並ぶかま天はその丼のほぼ半分を占め、圧巻です。

 おつゆはこちらもやや濃いめ、そして甘めの味付けで出汁感がたっぷり。麺は太めで、もっちりとした食感、この甘いおつゆと柔らかい麺の組み合わせが、幌加内そばの特徴なんでしょう。柔らかさが立った旭川駅の駅そばに比べ、こちらはもっちり感のなかにコシ、歯ごたえがあります。そしておつゆのうま味との相性はばっちりです。

 ただ1.5人前のちょい盛りは、それほど小食ではない自分にとっても十分すぎるほどの量で、たっぷりの蒲鉾天のトッピングとも相まって、食べ終えたら満腹で苦しいほどでした。たぶんたいていの人なら、素直に1人前(メニューによると180g)で足りないことはないでしょう。

 旧添牛内駅は廃止から30年経ったいまでも、駅舎が美しく保存されています。旭川からはるばるクルマを走らせ、いただいたおそばは、自分にとってそのドライブの価値を存分に感じさせるものでした。と同時に、期間限定とはいえ現時点での「日本最北の駅そば」である「駅そば音威子府」にも思いを馳せました。

【え…!】これが「“常設”日本最北の駅そば」と、その「本場」です(写真)

Writer:

1966年、福岡県生まれ。自動車専門誌編集部勤務を経て独立。クルマ、PC、マリン&ウインタースポーツ、国内外の旅行など多彩な趣味を通し積み重ねた経験と人脈、知的探究心がセールスポイント。カーライフ系、ニュース&エンタメ系、インタビュー記事執筆のほか、主にIT&通信分野でのB2Bウェブサイトの企画立案、制作、原稿執筆なども手がける。

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