羽田衝突事故、異例の「二度目の経過報告」から見えたモノ 真相究明のプロセスをどう評価すべき?

2024年に羽田空港で発生したJAL機と、海上保安庁機の衝突事故。この2年で真相究明のプロセスは異例の経緯を辿っています。どのように評価すべきでしょうか。

異例の「二度目の経過報告」

 2024年1月2日に羽田空港で発生したJAL(日本航空)機と海上保安庁機の衝突事故から2年が経過しました。この真相究明のプロセスを、どのように評価すべきでしょうか。

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上がJALのA350-900、下が海上保安庁のDHC-8-300(画像:乗りものニュース編集部/海上保安庁)。

 結論からいえば、これは現状の日本の航空行政の課題を示しているといえそうです。

 多くの航空事故は、発生からおよそ1年で事故調査報告書が公表されるところですが、この事故では2年を経過しても発表がありません。さらに、事故調査の経過報告が二度も出されるという異例の展開となりました。そして、この事故は事故発生時の映像をはじめ多くの状況証拠とともに双方の機長が生存しているため、航空機の事故調査としての難易度が高いとも考えづらいです。

 この事故では事故発生直後から事故原因の可能性として複数の事象が指摘されてきました。おもなものは以下の3点です。

・海保機は滑走路への進入が許可されたものと勘違いして滑走路に進入してしまったこと。

・JAL機からは滑走路上で停止していた海保機を視認できなかったこと。

・管制官はJAL機に着陸を許可しておきながら同じ滑走路に進入した海保機を見落としていたこと。

 ただ、海外メディアでは上記の三点よりも重大な問題点として、海保機に自機の位置を座標情報として発信し、視界が悪い天候においても周囲の航空機の位置が正確に表示されるシステム「ADS-B」が未装備であったことを指摘しています。海保機がADS-Bを装備していたら羽田空港周辺の全ての航空機や管制塔から海保機が滑走路上で停止していることが表示されていた可能性が極めて大きく、事故を未然に防げた可能性があったからです。

 海外ではADS-Bを装備していない航空機は羽田空港のような混雑空港に近づくことすら禁止されています。そうしたことから海外メディアでは、ADS-B未装備機が日本で一番忙しい空港で運航されていたことが疑問点としてあがったのでしょう。

 今回の事故原因を論理的に突き詰めていくと、海上保安庁も航空管制も所管する官庁は国土交通省です。ADS-Bが日本で普及していないことも航空行政の遅れと指摘されても無理はありません。こうなると、今回の事故の原因の一端は国土交通省にも及ぶということです。そんな状況においてJTSB(運輸安全委員会)が出した異例の対応が、二度目の事故調査経過報告だったというわけです。

【画像】えっ…これが「羽田衝突事故2年目の経過報告」全容です

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