羽田衝突事故、異例の「二度目の経過報告」から見えたモノ 真相究明のプロセスをどう評価すべき?
2024年に羽田空港で発生したJAL機と、海上保安庁機の衝突事故。この2年で真相究明のプロセスは異例の経緯を辿っています。どのように評価すべきでしょうか。
必要なのは「国交省と事故調査委員会」の切り離し?
というのも、JTSBは国交省傘下の組織です。そうなると、どうしても原因究明のプロセスにおいて国交省への配慮を完全に排除することは、なかなかできることではありません。
筆者は今回の事故調査の教訓としてJTSBの独立組織化が必要なのではないかと感じています。
たとえば航空大国のアメリカでは、事故調査を行うNTSB(国家運輸安全委員会)は1974年までは連邦航空局と同様にアメリカ運輸省に属する組織であったため、多くの弊害が指摘されていました。航空機事故の場合、航空行政を司る連邦航空局にとって都合の悪い事故原因は出にくくなります。
その理由として指摘されたのは、組織防衛が優先されてしまうため、関係者が本音を話さなくなること、そして、技術的な深堀が不十分になるなどです。そんな中で1958年にニューアーク湾で起きた鉄道事故が決定打となり事故調査は完全に独立した機関が行うべきであるという機運が一気に盛り上がりました。
この事故では可動橋が開いたままの状態であったところに通勤列車が進入して48人の死者を出した惨事でした。事故の原因は橋と信号の誤操作や運航管理など複合的なもので、事故発生の要因として管理・監督の不備も指摘されていました。ところが、当時の事故調査は規制当局と業界に近い立場の組織が行っていたため、事故調査の内容において責任の所在が不明確である点に加え、組織や制度など構造的問題への踏み込みが弱いという批判を受けたのです。
こうした苦い経験を経て、アメリカでは運輸省やその傘下にある連邦航空局から完全に独立した組織としてNTSB(国家運輸安全委員会)が事故調査を専門に行う機関として1974年に設立され今日に至ります。NTSBを構成する委員は大統領が指名して上院の承認を得て任命される仕組みです。
独立機関であるNTSBから出される安全勧告に法的拘束力こそありませんが、その影響力は極めて大きく、全世界で尊重されています。
筆者は、日本もJTSBも国交省から分離させ、内閣府へ編入させることを検討する時期に来たのではないかと考えています。
Writer: 中島二郎(航空アナリスト)
各国の航空行政と航空産業を調査するフリーのアナリスト。





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