「暗い室内」は過去の話 日本を守る21世紀の防空システム「ジャッジ」、その姿とは
映画などで描かれる、軍隊の司令官が詰める『指揮所』というと、とにかく暗いイメージがあるのではないでしょうか。かつてはリアルだったそうした描写、今後は変わってくるかもしれません。現場を取り仕切る現役の空自司令官に、指揮所の最新事情を聞きました。
指揮する部屋は「明るい職場」?
1993(平成5)年に公開されたアニメ映画『機動警察パトレイバー2 the Movie』。その冒頭に、航空自衛隊の「SOC/DC(作戦指揮所/防空指令所)」と呼ばれる戦闘機の管制などを行う部署が描かれています。
照明が落とされた薄暗い部屋に複数台のレーダーコンソールが並び、多数の管制官がブラウン管のスクリーンにぼんやりと輝く光点を注視する……そのリアルな描写は、ファンのあいだで大きな話題を呼びました。
しかし現在、SOC/DCの様子はガラリと変わったようです。航空自衛隊・南西航空混成団司令の荒木淳一空将(取材当時。「荒」は正しくは「ボウ」の部分が「トツ」)は次のように話します。
「我々自衛官も、防空指令所やそうした場所は『暗い』というイメージしかありませんでしたが、これは昔の『バッジ(BADGE)』という防空システムが使用されていた時代の話です。いまそれに代わり使われている『ジャッジ(JADGE)』は、普通の事務所とほとんど変わりません。市販のパソコンと液晶ディスプレイが並んでおり、操作もキーボードやマウスでやっております。部屋の照明も、ものすごく明るくなりました」(南西航空混成団司令 荒木空将(当時))
昔に比べて「明るい職場になった」とユーモアを交えて語る荒木司令は、日本全国を北部、中部、西部、南西の4つに分割した「方面隊」のうち、沖縄県とその周辺の防空を担当する「南西航空混成団」の司令官です(取材当時。2016年12月、航空教育集団司令官に)。
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