着陸には要クルマ? 偵察機U-2Sが現役のワケ 冷戦の生き証人、2050年まで飛び続けるか

世界で最も操縦が難しい飛行機?

 U-2Sはアメリカ空軍いわく、「世界で最も操縦が難しい飛行機」です。なぜそう断言できるのか、その理由は、高度2万mから12時間にもおよぶ偵察飛行を実施する能力を求めたため、“ほかのすべてを捨て去った”特異な設計にあります。

 U-2Sの着陸は特に困難です。空気の薄い高高度でも効率よく揚力を発生させる主翼は、地面に近づくと、翼と地面のあいだの空気がクッションのように作用し、着陸したいのに揚力を増加させ降下することができなくなってしまう悪癖を持ちます。

 主翼を完全に失速させ、ようやく滑走路に接地しても、今度は長い主翼を地面に叩きつけないよう、パイロットは左右の傾きのバランスを常に保たなければなりません。しかもコックピットからの視界は極めて悪く、主翼はおろか前方さえも長いノーズに邪魔されて滑走路すらみえません。そのためU-2Sは、着陸する滑走路上空に達したならば、地上で待機していたチェイスカーが同機を追いかけ、外からその姿勢を確認し無線でパイロットに指示を与えるという、手助けを必要とします。

 31m(U-2Sの全幅)の長い棒を持ちつつ目隠しで自転車を真っ直ぐ走らせることを想像すれば、その着陸の難しさの一端を理解できるのではないでしょうか。

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着陸滑走するU-2Sを追いかけるチェイスカーのポンティアックG8。なおこの後ろにはさらに、U-2Sが停止後に外付けする補助輪を運ぶ小型トラックが続く(関 賢太郎撮影)。

 また高度2万mという、人間の生存が不可能な領域で12時間もの偵察飛行を実施するために、パイロットは宇宙飛行士と同じような与圧服(宇宙服)を着用。食事も宇宙食と同様チューブを使って摂取し、また排尿用のチューブさえも下半身に取り付けます。

 一方「グローバルホーク」ならばAIによる自律飛行が可能であり、無人機ゆえ生命を維持するための装備は必要なく、滞空時間もU-2Sの3倍に達します。一見するとU-2Sを運用し続ける理由が無いように思えるかもしれません。なぜこのような使いにくいU-2Sが残っているのでしょうか。

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コメント

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2件のコメント

  1. 映画ブリッジオブスパイでパワーズ事件がエピソードにあり、興味を持って劇場の帰りに世界の傑作機をポチった。
    パワーズ機は日本に関係した事件をやらかしていたのは、知らなかった。
    ググれば簡単に出てくるが、けっこう怖い事件だ。

  2. Is online gambling legal in US