見た目は同じ、中身は別モノ! 米軍の新型戦車「M1E3エイブラムス」世界初公開 次世代戦争を生き抜くために“捨てた”ものとは?
2026年1月15日、デトロイトで開催された北米自動車ショーに、アメリカ陸軍が開発中の新型戦車、M1E3「エイブラムス」が初展示され、話題になりました。この戦車は、どのような将来を見据えて開発されたのでしょうか。分析します。
SEPv4からの過激な方針変更
ところが、お披露目されたM1E3が重視したのはまったく別の視点です。まずはっきりしているのが、重量と被弾生残性の再設計です。SEPv4では高性能と引き換えに重量増加が避けられません。
SEPv3の重量67tも補給や運用面で問題になっていましたが、さらに重くなるのは確実です。この点、M1E3では、装甲の再配分/能動防護(APS)統合を前提に、トップアタックやドローン攻撃、電子戦への対応を重視しています。
次が「人機統合」と乗員数の最適化です。簡単に言えば人と機械の連携を見直して、乗員を減らしても戦闘力が低下しない設計にすることです。この考えは、無人砲塔を採用して乗員を3名に抑え、車内の安全配置を強化する取り組みに反映されています。
機構面では、ハイブリッド化や新型トランスミッションの導入で、余剰電力を確保して将来の電子装置の発展に備えること。さらに各種センサーや電子戦装置は交換可能な差し込み式にして、従来型戦車のように、改修のたびに大がかりな作業やコストをかけずに済む仕組みを最初から目指しています。
このような新要素をつなぐキーワードが「Modular Open Systems Architecture」、略して「MOSA」です。日本語にすると「モジュール化開放型システム構造」と堅苦しいですが、戦車としての各種機能をオープンな規格のモジュールにして、差し替えや拡張を容易にする仕組みです。
たとえるなら、USB-Cコネクターをたくさん用意しておいて、新機能のデバイスを随時差し替えてアップデートしていくようなイメージです。SEPv4を否定するのではなく、良い点は残しつつ、より安価で迅速に、かつ段階的に着実に採り入れ可能な仕様に改めるのが狙いと言えるでしょう。
したがって、デトロイトに登場したM1E3は、完成形ではなく、これからもどんどん進化していく途中の戦車と見るべきです。そのため、ひょっとしたら1年後には新たな姿で展示されるかもしれません。
Writer: 宮永忠将(戦史研究家/軍事系Youtuber)
1973年生まれ、上智大学文学部史学科卒業、東京都立大学大学院人文科学研究科中退。 雑誌編集者、ゲーム会社ウォーゲーミングジャパン勤務等を経て、各種メディアにて歴史・軍事関連の執筆や翻訳、軍事関連コンテンツの企画、脚本などを手がける。Youtube「宮永忠将のミリタリー放談」公開中。





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