なぜフランスは戦闘機の共同開発で揉めるのか? 次世代戦闘機「FCAS」でも「絶対に折れない!」と空中分解しかけている理由とは
FCASに黄色信号、それでもフランスが“戦闘機を手放せない”決定的な理由”とはどこにあるのでしょうか。
戦闘機部分はフランスが主体的に開発
FCASはその名前の中に「航空システム」という単語が含まれており、単体の戦闘機を指すものでなく、実際には第6世代有人戦闘機、無人航空機、指揮統制ネットワークを組み合わせたシステムを表した名称です。そして、この新型有人戦闘機は「NGF(次世代戦闘機)」と呼ばれており、これをフランスが主体となって開発を進める予定です。
2025年にフランスで開催されたパリ・エアショーにおいても、FCASとNGFは明確に区別されており、会場内に展示されていた実物大の新型戦闘機のモックアップはNGFと表記されていていました。筆者がフランスの軍や企業関係者に「次世代戦闘機FCAS……」と発言すると「NGFですよ」と即座に指摘されるほどで、フランス側は「FCAS=システム全体」、「NGF=機体本体」という区別に強いこだわりを持っていました。これがドイツとの対立の大きな原因ともいえます。
NGFを元々主導していたフランスの航空宇宙企業ダッソーは、有人機の開発に関してドイツの資本が強いエアバス・ディフェンスやスペインのインドラの意見を取り入れると、フランスの運用思想にあった機体が開発できなくなるのではと危惧している部分があります。
実は1980年代のユーロファイター「タイフーン」開発計画においても、イギリス、西ドイツ(当時)、イタリア、スペインとの合意に至らず、最終的にダッソーが独自に「ラファール」を開発したという経緯があります。
この際は自国のスネクマ製のエンジンの使用可能性の有無や、艦載機としての能力を付与するかについて最終的に合意が得られなかったことが原因となりました。今回はその問題を繰り返さないため、無人航空機、指揮統制ネットワークはほかのメーカーと共同でも構わないものの、有人機の主導的な役割は絶対に譲りたくない訳です。そのため、ダッソーのエリック・トラピエCEOは2025年9月に、「ドイツが文句を言うのは構わない。もし彼らが単独でやりたいなら、そうすればいい」とまで言いました。
事実、NGFの開発はすでに部分的に進められており、「ラファール」のアップグレード型である「ラファール F5」では、NGFに採用されるAI支援機能や無人機との連携機能(リモートキャリア)が実装される予定で、先進技術を既存機のアップグレードで先行開発することで、開発遅延のリスクを軽減させる狙いがあります。
核兵力についても、ASMP-Aの後継となる次世代航空機発射型核ミサイル「ASN4G」が開発中ですが、この搭載能力は「ラファール」 F5とNGFにも付与され、今後のフランスの核戦力となる予定です。





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