なぜフランスは戦闘機の共同開発で揉めるのか? 次世代戦闘機「FCAS」でも「絶対に折れない!」と空中分解しかけている理由とは

FCASに黄色信号、それでもフランスが“戦闘機を手放せない”決定的な理由”とはどこにあるのでしょうか。

FCASが中止になったらどうなるの?

 FCASの全体の開発予算の金額は現時点で不明ですが、一部の報道の中には約1000億ユーロ(約17兆円)と試算しているものもあります。もし、仮にFCASが中止となった場合、フランスのみでFCAS やNGFを開発するのは予算規模的にも難しいでしょう。

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パリ・エアショーでデモフライトを行なうフランス空軍の「ラファール」。イベント用に特別な塗装がされている(布留川 司撮影)

 現状、FCASの計画進捗は遅れており、最近の報道を信じるならば計画中断の可能性もあります。

 しかし、フランスにとっては核戦力という重要な任務を担わせる以上は、何らかの形で次世代戦闘機の開発を継続するものと考えられます。

 先行して開発している「ラファールF5」は、NGF配備まで核戦力の空白を生まないための繋ぎ的な意味合いもあります。FCAS/NGFの計画が中止となった場合も、「ラファールF5」があれば空白期間のない時間的な余裕はあり、規模と仕様を変更した上で、新しい戦闘機の開発計画を立ち上げることも十分に可能だと思われます。

 FCASの参加国の中で、現在も戦闘機の開発と生産を単独で行えるのはフランスだけであり、これは世界規模で見ても限られた国だけが持つ産業的に貴重な能力だといえます。国産品というフレーズは、あらゆる製品においてある種のブランド的な意味合いを持っていますが、兵器開発の場合はその国の産業育成や外交・安全保障にも影響を与えます。

 フランスにおける戦闘機開発は、世界で9カ国しかない核保有国という重要な外交安全保障状の手札を支えるものであり、困難な条件があっても簡単に中止できないのです。

【画像】え、戦略兵器…?! これが核を積んだ「ラファール」です

Writer:

雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info

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