日本側大敗の危険もあった!? 史上初の空母決戦「珊瑚海海戦」とは 実は大勝すればその後の戦況も変わっていたかも?
史上初の空母同士の戦いとなった「珊瑚海海戦」ですが、戦争にどのような影響を与えたのでしょうか。
もし戦いが別の方向に進んでいたら?
最終的に、日本側はポートモレスビー攻略を断念し、珊瑚海海戦は終結します。戦果としては大型空母を撃沈したことで日本海軍が大きな成果を挙げたように見えますが、本来の目的は達成できず、軽空母とはいえ「祥鳳」を失い、「翔鶴」も当面の作戦行動が不可能となりました。航空機の損害は97機に達し、アメリカ軍の損害69機を上回っており、戦略的には日本側の敗北と評価できます。
なお、日米双方ともに多くのミスを犯していますが、それでも日本海軍は幸運であったと言えます。空母戦力の分散や度重なる索敵失敗にもかかわらず、アメリカ側の失策に助けられ、先制攻撃を受けなかったからです。また、無理な夜間攻撃で21機を失いながらも、パイロットの奮戦によって「レキシントン」を沈めています。これは、海戦以前から高い練度を誇っていた搭乗員たちの功績とも言えます。仮に「翔鶴」への爆弾命中箇所がさらに悪かった場合や、「翔鶴」「瑞鶴」が一方的に先制攻撃を受けていた場合、被害はより深刻なものになっていた可能性が高いでしょう。
また、日本側が優勢で終わる「もしも」があるとすれば、「祥鳳」を分離せず、索敵機数を増やしていたケースが考えられます。5月7日の段階で日本軍がアメリカ空母を発見していれば、アメリカ側の索敵は失敗しており、一方的な勝利を収めていた可能性もあります。
さらに大きな「もしも」として、「米豪分断」と「ミッドウェー攻略」の戦略選択が挙げられます。史実では「ミッドウェー攻略」が優先されましたが、仮に「米豪分断」が優先されていれば、空母を温存する必要がなく、ポートモレスビー攻略に日本空母主力が投入された可能性が高いです。前述の通り、アメリカ軍は2日待てば空母2隻が増勢する状況であったため、日本側の空母数が多いと判断すれば、4隻が合流するまで待ったと考えられます。
この場合、日本軍空母6隻に「祥鳳」を加えた戦力と、アメリカ軍空母4隻が、基地航空隊の介入なしに交戦することとなり、日本側がかなり有利に戦闘を進められた可能性があります。仮にここで日本軍が大勝し、多くのアメリカ空母を撃沈していれば、ミッドウェー攻略で「敵空母の誘引撃沈」を狙う必要もなくなっていたでしょう。
もっとも、仮に大きな戦果を挙げたとしても、アメリカの工業力を考えれば、短期間で戦力が回復する可能性は高いです。太平洋戦争の局面を根本的に変えるには、ポートモレスビー攻略後、場合によってはハワイを制圧し、真珠湾の軍港機能を喪失させる必要があったと考えられます。しかし、この上陸作戦は極めて困難でした。
そもそもポートモレスビーは補給が困難な地形であり、攻略作戦そのものが大きな負担となっていた可能性も高いです。仮に日本海軍があらゆる好条件を引き当てていたとしても、最終的に追い詰められるという流れは変わらなかったのかもしれません。
Writer: 安藤昌季(乗りものライター)
ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロイラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。





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