MRJ、5回延期のワケ ゼロからの再出発で国内航空産業が課せられた宿題とは

三菱航空機は2017年1月23日、開発中の国産小型旅客機「MRJ」について、ANAへの引き渡しを延期すると発表しました。その開発期間における計画延期はこれで5回目ですが、そこにはどんな理由があるのでしょうか。

MRJ、完成引き渡しは2020年に

 三菱航空機は2017年1月23日(月)、現在開発中の国産リージョナルジェット(小型旅客機)「MRJ」について、ローンチカスタマーであるANA(全日空)への引き渡しを予定していた2018年半ばから、最長で2年延期し2020年半ばとする方針であることを明らかにしました。

「ローンチカスタマー」とは、航空機メーカーが新型機の開発、製造に踏み切る後ろ盾となる注文主のことで、すなわちその新型機が最初に引き渡される相手でもあります。ローンチカスタマーへの引き渡しが延期されるということは、つまりその新型機の開発計画全体が遅延していることを意味します。

 MRJは、ANAから受注のあった2008(平成20)年の時点では2013年に引き渡しを見込んでいたものの、今回で五度目の延期となりました。なぜMRJはこのように延期を繰り返しているのでしょうか。

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5度目の延期が発表された三菱航空機のMRJ(写真出典:三菱重工)。

 まず1回目の延期は2009(平成21)年9月9日です。このときは当初MRJに採用していた胴体や主翼の主要素材である炭素繊維強化複合材が、思ったほど軽量化のメリットを得られないことが分かり、三菱航空機はその使用を減らし、実績のあるアルミニウムを主とした設計に変更しました。これに伴いANAへの引き渡しは2014年第一四半期とされました。

 2回目の延期は2012年4月25日で、製造において規定違反が判明。製造済みの部品の確認や製造工程の改善を要しました。さらに炭素繊維強化複合材の製造において工数の低減が図れる、真空樹脂含浸製造法を採用したことによる実証の遅れが発生。引き渡しは2015年後半期に延期されます。

 3回目の延期は2013年8月22日。安全性を担保してゆくプロセスの構築と装備品仕様の決定による遅れから、装備品の製造開始に影響を及ぼしました。引き渡しは2017年第2四半期とされました。

 2015年11月11日、愛知県営名古屋空港(航空自衛隊小牧基地)においてようやく初飛行を成功裏に実施しましたが、その翌月12月24日には試験項目の追加・見直しを行った結果、今後の試験飛行が想定よりも長い時間が必要であると判明し、2018年第2四半期へ4回目の延期がなされます。

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コメント

3件のコメント

  1. 技術的な試行錯誤は仕方ないとしても、マネージメントの甘さも否めませんな
    意思決定の遅れ、製造工程違反、検証項目の定義漏れ、この3つはマネージメントの責任ですわ
    先回りして何かを仕込んでおく、確認しておく、問題を潰しておく、そういう積極性が感じられない
    良くも悪くもマイペース、いかにも三菱らしいとも言えるかもしらんが、そういうのを度々目にしてしまうと、
    期待してはいけないのかも知れない、期待に値しないのかも知れないと思わされてしまう

  2. 残念ながら期待はずれですね。
    某国の圧力を無視していれば、こんな事にはならなかったでしょう。
    日本衰退の象徴とも言える記事ですね。

  3. メイドインジャパン製がクリアー出来ないとか?10年経つと複合素材も進化したり、また金属も強度も上がっいますよね!配線一つ取っても価格が上がっているし、電源がコンセットからUSB→USB3.0に変更ですか?
    製造課程で担当者や責任者が変わってしまったり技術者も定年しちゃいますよ。