米海軍に焦り!? 最新空母「クリントン」の建造を前倒しへ 6600億円を投じて急ぐ“切実な理由”とは

米海軍は2026年5月12日、新型空母「ウィリアム・J・クリントン」の調達計画を、1年前倒しすると発表しました。これに伴い、事前調達費用も要請。なぜ米軍は、急いで新型空母の建造を進めようとしているのでしょうか。

退役が進む「ニミッツ級」と空母不足の危機

 アメリカ海軍は2026年5月12日、ジェラルド・R・フォード級原子力空母の5番艦「ウィリアム・J・クリントン(艦番号CVN-82)」の調達計画を、当初の2030会計年度から2029会計年度に前倒しすると発表しました。

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ジェラルド・R・フォード級原子力空母の1番艦「ジェラルド・R・フォード」(画像:アメリカ海軍)

 これに伴い、事前調達費用として42億ドル(約6600億円)の予算を要請しています。なぜアメリカ海軍は、新型空母の建造を前倒ししようとしているのでしょうか。

 アメリカ海軍が空母の新造を急ぐ背景には、深刻な「空母不足」に対する強い危機感があります。長年主力として活躍してきたニミッツ級空母が順次退役の時期を迎える一方で、次代を担うフォード級の引き渡しペースがそれに追いついていないからです。

 アメリカの法律では、海軍は「11隻の空母」を常時維持すると定められています。しかし現在のペースでは、2030年代から2040年代にかけて空母の保有数が規定を下回る恐れがあり、世界規模での海洋プレゼンス(存在感)や抑止力の低下に直結する可能性が高まっています。この将来の戦力ギャップを少しでも埋めるため、アメリカ海軍は調達スケジュールを前倒しする決断を下したと言えるでしょう。

「ウィリアム・J・クリントン」が属するジェラルド・R・フォード級原子力空母は、基準排水量約10万トン、全長337mを誇る巨大艦です。最大の強みは、従来比で約2.5〜3倍もの電力を供給できる新型の原子炉にあります。

 この強力な電力を活かし、従来の蒸気式に代わって「電磁式カタパルト(EMALS)」を搭載。F-35Cステルス戦闘機はもちろん、将来配備されるであろう新型機「F-47」や無人戦闘機「CCA(協調戦闘航空機)」など、次世代の艦載機をスムーズかつ高頻度で発艦させることができます。さらに、将来的なレーザー兵器や最新の電子戦システムの搭載を見据えた電力の余裕も十分に確保されています。

 一方で同艦は高度な自動化によって、乗員数はニミッツ級よりも約700名削減される予定です。アメリカ海軍は今回のスケジュール前倒しによって、2027年に起工、2032年に進水、2036年の就役を目指すとしています。

【画像】これがステルス戦闘機F-35Cマシマシの次世代空母です

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