リニア中央新幹線、神奈川県で起工式 貨物列車活用、最長トンネルも(画像14枚)

リニア中央新幹線建設に在来線貨物列車を活用

 中央新幹線の神奈川県における起工式は、川崎市宮前区での梶ヶ谷非常口及び資材搬入口の新設工事にあたって実施されました。この非常口より、土を削りながら進む鋼製の筒(シールドマシン)を入れ、大深度地下に、リニア品川~名古屋間最長の第一首都圏隧道が掘られていきます。地上と地下を結ぶ立て坑をまず建設で使い、のちに非常口や換気口とする形です。第一首都圏隧道の直上に設けられる梶ヶ谷非常口は、直径およそ50m。また、資材搬入口は直径およそ30mで、こちらは地下に設けられる保守用車留置施設に接続。開通後における中央新幹線の維持管理などにも使われます。

 JR東海によると、地下40mより深い場所でのトンネル掘削では、地上へ騒音や振動の影響はほとんどないとのこと。万が一、こうした大深度地下を行く長大トンネルの途中で列車が止まった場合、乗客は車内から、線路の下にある区画された通路へ避難し、最寄り駅もしくは非常口へ移動、地上へ出るそうです。

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中央新幹線が通るおおよその位置。武蔵野貨物線の梶ヶ谷貨物ターミナル駅付近に、非常口と資材搬入口が設けられる(国土地理院の地図を加工)。

 また梶ヶ谷非常口及び資材搬入口は、JR武蔵野線の梶ヶ谷貨物ターミナル駅付近に存在。工事で発生した土は、在来線の貨物列車を活用して臨海部などへ運ぶ計画になっているのも特徴です。大気質や交通への影響を低減できるほか、ふた付きのコンテナを使うため、土が輸送中に飛散することもないといいます。

「フジテレビの記者だった30年前、宮崎のリニア実験線を取材したことがありますが、なかなか実現しないため、夢の夢かと思っていました。しかしいよいよ現実になり、感慨深いです。神奈川県駅につきましては、降りたくなるような駅の開発を相模原市と目指します」(神奈川県 黒岩祐治知事)

「武蔵野線」というと一般的に、旅客営業を行っている府中本町駅(東京都府中市)と西船橋駅(千葉県船橋市)のあいだを指しますが、あわせて府中本町駅と鶴見駅(横浜市鶴見区)を結ぶ“貨物線”区間も存在。「武蔵野貨物線」などと呼ばれており、梶ヶ谷貨物ターミナル駅があるのは、この武蔵野貨物線区間です。

【了】

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Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)

鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。

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コメント

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3件のコメント

  1. 品川、名古屋、新大阪
    いずれも海や大河川に近いので、津波対策はキッチリやってください

  2. 緑区に住んでますが事故なく無事に完成してほしいですね。

  3. 走行技術はハイテクなのに建設残土処理って50年回らず埋立しかないのな。そこががっかりだ。鉄道会社と高速道路会社は共同で技術開発してほしいものだ。