「やっぱり原子力潜水艦にします」→引き渡しまでの“つなぎ”も高い! 戦力空白を埋める「海自潜水艦のリース」の現実味 豪州
オーストラリアが、老朽化した潜水艦の運用延長を決定しました。背景には原子力潜水艦導入までの戦力空白を防ぐため、代替案として日本の潜水艦を投入する案もありますが、購入するわけではありません。
そういえば自衛隊もリースだった
自衛隊が創設された1954(昭和29)年から1960年代までの日本は貧しく、自衛隊の主力装備品もアメリカからリースされていました。日本がある程度経済的に余裕ができ、自国で防衛装備品を開発できるようになって以降、リース装備品は順次アメリカに返却されています。
ちなみにアメリカから海上自衛隊にリースされたキャノン級護衛駆逐艦(海上自衛隊での呼称はあさひ型護衛艦)は1975(昭和50)年にアメリカ海軍に返却されていますが、これを米海軍はフィリピン海軍に譲渡。そのうちの1隻「ラジャ・フマボン」は2018年まで同海軍で運用されていました。現在のアメリカは余剰となった防衛装備品を無償譲渡していますので、キャノン級のような例は少なくなっています。
一方、チェコ空軍とハンガリー空軍のサーブJAS39「グリペン」戦闘機は、サーブとスウェーデン、そしてチェコ、ハンガリー両政府の間で締結されたリース契約に基づいて運用されています。
グリペンのリースは、2000年代初頭に購入を考えていたチェコとハンガリーが大洪水に見舞われて購入資金が尽きてしまったことに対する一種の救済措置ですが、それでもサーブはリース料のほかに、両空軍の要求の変化に応ずる能力向上改修を手がけて、ばかにならない改修料を手にしています。
リースは装備品輸出の“手札”のひとつ
現在、サーブの子会社である造船企業のコックムスは、ポーランドから新通常動力攻撃型潜水艦「オルカ級」の優先価格交渉者に選定されています。
ポーランドとコックムスの交渉は仕様要求や引き渡し時期のギャップから難航しており、選定に敗れた韓国のメディアなどでは「ご破算になって韓国の逆転受注もありうるのでは?」と報じられていますが、コックムスは現在スウェーデン海軍が運用している通常動力攻撃型潜水艦「セーデルマンランド級」のリースを“切り札”として、契約をまとめる意向のようです。
日本は2026年2月に防衛装備移転三原則を改定し、殺傷能力を持つ防衛装備品の輸出が可能になりましたが、日本がメインターゲットとしているアジア諸国は、かつてに比べれば豊かになったとはいえ、防衛費が潤沢なわけでもありません。
防衛装備品のリースによって日本の防衛に支障が出てしまうようでは本末転倒ですが、リース期間中に日本の防衛産業が利益を得られる可能性もありますし、アジア太平洋の安定に寄与するのであれば、海外へのリースも考えてみてもよいのではないかと筆者は思います。
Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)
軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。





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