快適だけど寝床は583系!? 謎多き海自「最新護衛艦」に宿泊 夜食スイーツと温水洗浄便座のウラにある省人化の現実
海上自衛隊の最新鋭護衛艦「もがみ型」。省人化と快適性を両立しているといいますが、その実態はどうなっているのでしょうか。2番艦「くまの」に乗艦・宿泊した艦内の様子を紹介します。
「省人化」の本当の意味とは
ただ、艦内の手狭感は否めません。筆者が使った三段ベッドの上段は寝返りをうつ高さはあるものの、配管が頭上を横切り、出入りのたびに頭をぶつけてしまいました。国鉄583系寝台電車の三段式B寝台の上段を思い出します。一度寝台に入り込むと出るのが億劫になり、もう寝るしかないという状態でした。乗組員が休憩するレストルームもありませんし、食堂も幹部と海曹士用に分かれておらず一緒に喫食します。
浴室は24時間利用できるよう配慮され、シャワーも十分な吐水量が確保されていました。トイレは吸引式でもちろん洗浄便座(ウォシュレット)完備です。洗浄便座は日本では当たり前になっていますが、他国海軍では一般的ではなく、外国軍関係者が見学時に驚く設備の一つだそうです。
省人化をサポートしているのが、IT技術です。艦内に入ってまず感じたことが、区画によって旅客機のようにやたら空調が効いて乾燥しているということです。艦内にはLANケーブルと思しき配管があちこちに走りサーバーも随所にあるように見られました。どうやら空調は乗員の快適性だけでなく、電子機器の安定稼働も意識した設定になっているようでした。
乗組員が少なくなった分艦内で一人になることもあります。戦闘任務にも就く軍艦である以上、艦内状況と各乗組員の状況を常に把握しておくことはダメージコントロールの基本です。そこでFFMでは「個人見守りシステム」が導入されています。艦内約200か所にカメラ付き統合センサーが付いており、戦闘指揮所(CIC)で艦内をもれなく遠隔モニターできます。
乗組員は配置に付く際、スマートウォッチのようなウェアラブル生体センサーを装着します。個人の位置や身体の異常を検知し、単独行動中に倒れた場合でもCICで検知しカメラで状態を視認できます。ちなみに、居住区はプライバシーに配慮してカメラは通常OFFで異常事態時のみ機能するようになっています。
今回の取材で感じたのは、「省人化」という言葉の意味でした。V-BATは有人哨戒ヘリコプターの任務を肩代わりし、「くまの」も個艦訓練として搭載している無人機雷排除システム用水上無人機(USV)の対機雷戦訓練を繰り返していました。無人アセットは「省人化」「省エネ化」を実現する重要な装備です。
海上自衛隊が進める「省人化」「省エネ化」は、人を機械に置き換えることではありません。人が本来果たすべき役割に力を注げる環境をつくるための挑戦です。V-BATや無人艇といった新しい装備が注目を集める一方で、FFM「くまの」には夜食のスイーツを焼く給養員も、係留作業に汗を流す飛行科員も居ます。フネを動かしているのはやっぱり「人」です。
Writer: 月刊PANZER編集部
1975(昭和50)年に創刊した、50年以上の実績を誇る老舗軍事雑誌(http://www.argo-ec.com/)。戦車雑誌として各種戦闘車両の写真・情報ストックを所有し様々な報道機関への提供も行っている。また陸にこだわらず陸海空のあらゆるミリタリー系の資料提供、監修も行っており、玩具やTVアニメ、ゲームなど幅広い分野で実績あり。





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