京急電車、道路走って踏切越えて38年ぶり帰郷 京急横浜新本社のシンボルに デハ230形

1929年生まれの「名車」デハ230形が、解体の危機を乗り越えて、38年ぶりに古里の京急へ帰ってきました。今後は京急におけるひとつのシンボルとして、親しまれることになりそうです。

1929年に生まれた「日本の名車」

 京急電鉄でかつて活躍した電車デハ230形(236号)が、2017年5月24日午前1時25分ごろ、タイヤのついた台車に載せられ道路を走り、京急線の踏切を横断して、38年ぶりに“故郷”の京急へ帰ってきました。

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横浜市の車両工場に到着。“京急に帰郷”したデハ230形電車(2017年5月24日、恵 知仁撮影)。

 帰郷をはたしたデハ230形は1929(昭和4)年に製造され、現在の京急につながる湘南電気鉄道が1930(昭和5)年に開業したときからレールの上を走行。京急を1978(昭和53)年に引退したのち、翌1979(昭和54)年より埼玉県川口市で保存されました。

 しかし、長い年月を経て車両が老朽化し、一時は解体の話も出る状況に。そうしたなか、川口市が2016年に行った引き取り希望者の募集に京急が手を挙げ、今回の38年ぶり帰郷が実現しています。

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休んでいる後輩たちと、金沢八景駅付近の踏切で出会う。
別のトラックで、あわせてデハ230形本来の台車なども運ばれた。
デハ230形には「川口市の皆さまありがとう! 横浜行」という行先標が。

 京急電鉄によると、このデハ230形は軽量で丈夫な車体構造、大きな窓、地下鉄と郊外の双方に適している、走行性に優れた軸受の採用といった特徴があり、当時最高の技術を取り入れた「日本の名車」として広く知られ、「現在の高速化のスタイルを確立した電車の草分け的存在」といいます。

帰郷したデハ230形、将来はみなとみらいの「京急新本社」で

 京急に帰ってきたデハ230形は、このたび川口市から陸送され到着した横浜市金沢区の総合車両製作所で、同車が活躍していた時代を知る京急OBの知見を生かしながら整備、復元が進められます。そして横浜市のみなとみらい地区で2019年秋から稼働する予定の京急グループ本社ビル(仮称)1階で、保存・展示される予定。現在は東京都港区にある京急電鉄の本社、その横浜移転におけるひとつのシンボルになりそうです。

 また今回の帰郷を記念し、京急は5月28日(日)までデハ230形への思い出写真・メッセージを募集しているほか、その日に京急ファインテック久里浜事業所で開催される「京急ファミリー鉄道フェスタ2017」(入場無料)において、埼玉県川口市へのお礼メッセージ募集、「京急デハ230形(236号)引継式」が実施されます。

京急デハ230形デハ236号車両概要

最大長:16m
最大幅:2.74m
最大高:3.96m
自重:33.5t
主電動機:93.3kw(125馬力)×4台
台車:MCB-R型
定員:100人

【了】

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1件のコメント

  1. 総合車輌でやるのね。
    久里浜のファインテックだと思ったのに。