国内初「医療ジェット」7月に北海道で実用化 医療の地域格差解消に一手

北海道の医療事情、「メディカルジェット」でどう変わる?

 研究運航では、患者の傷病の状態から緊急搬送、準緊急搬送、計画搬送と3種類の出動区分に対応し、道外から道内の病院へ、あるいは道内から道外の病院への搬送も行われました。7月からの実運用では、道内における計画的な搬送が想定されています。

 北海道航空医療ネットワーク研究会は、「飛行機はヘリと比べて揺れや騒音が少なく、機内の気圧調整も可能なことから患者の負担を軽減できます。航行速度や航続距離も向上し、天候にも左右されにくい」と話します。重症度が高く、集中治療が必要な患者の搬送にも対応できるそうです。

 研究会の報告書によると、たとえば中標津空港から札幌丘珠空港までジェットを利用し、医療機関どうしの直線距離で374.5kmを搬送したときの所要時間は2時間1分だったそうです。両空港のあいだは、陸路だと5時間以上を要します。北海道では防災ヘリや自衛隊の飛行機による転移搬送も行われていますが、悪天候や本来の業務の関係から要請に応えられない場合もあり、ヘリよりも安定し医療搬送に特化した「メディカルジェット」が有望視されているといいます。

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研究運航で使われた機材のひとつ、セスナ560型「サイテーションV」(画像:北海道航空医療ネットワーク研究会)。

 研究運航は中日本航空(愛知県豊山町)に委託され、セスナ560型「サイテーションV」、ビーチクラフト200型「キングエア」の2機が使用されました。それぞれ機内を改造し、専用ストレッチャー(担架)や酸素供給装置などの医療機器が備えられたといいます。ただ7月からの実運用においては、「機材や拠点空港については、現在調整中」(北海道庁地域医療課)だそうです。

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研究運航で使われた機材のひとつ、ビーチクラフト200型「キングエア」(画像:北海道航空医療ネットワーク研究会)。

 北海道庁地域医療課は、「公平な受診機会の確保につながる」と期待を寄せています。

【了】

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コメント

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9件のコメント

  1. 何か救急車が妙に肥大したりクラウンのパトカーを使う理由に似てるな、

  2. この場合プロペラ機ではなく小型ジェット機になったのはなぜなのでしょうか?
    北海道内程度だと大差無さそうですが・・・
    機材搭載量や内部空間の広さでしょうか。

    • 高度医療のために道外への搬送も想定しているようなので、ジェット化はそのためかな?

  3. ヘリで用は足りる、ジェットは天候に左右されやすいし飛行機ならプロペラでしょ、ジェットの速度や高度は逆に患者にリスクになる場合もあるのでは?

    • まあ、急患大義にジェットのスピードなら説得材料にはなるね、ただ、何れは見立ての甘さに悔いる時がくるだろ、

  4. こんなもん導入して離発着の設備にかける暇と金があるなら地上の医療設備に投資したら?それでも追い付かぬところは空輸にしてもジェットは要らない!

  5. ジェット機を導入しなければ高度医療が受けられないほど、過疎地の医者は絶望的に足りない。と思うべき。

    • 足りないも足りないだろうが意図して廻さないか?必要無いか?しかし世に成すべき事なんて特に心の問題では有り得んだろ?思うべき?なんて言われて思う思考回路なら遠にショートしてるわ

  6. ジェットのが必要なほど医師が足りない?足したとこで高度な医療に直結しないでしょ?患者と渡り合える医師を育成するべき、するべき、?