飛行機からの緊急脱出、覚えておきたいポイント 手荷物NG、救命胴衣は座席NGのワケ(写真37枚)

飛行機からすべり台で脱出 手荷物がNGなワケは?

 機内からの緊急脱出訓練を、この施設で実演してもらいました。陸上で行う場合は、非常口など展開する“すべり台”のような「緊急脱出スライド」を使います。

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非常口から展開したすべり台のような「緊急脱出スライド」(恵 知仁撮影)。

 このとき行われた陸上への脱出訓練は、離陸滑走中に大きな衝撃を受け、緊急脱出するというもの。衝撃を受けた(という設定の)瞬間、機内にCAの「頭を下げて! Heads down!」という声が、非常に大きく響き渡ります。

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機内に充満する模擬的な煙。
ドアの窓から外を確認したのち、脱出を開始。
フラッシュライトやメガホンで暗い機内を誘導する。

 そして停止したところで、まずCAが外を確認。陸上だと分かり、「陸上脱出」が始まります。この施設では、機内に模擬的な煙を発生させることが可能。CAはできるだけ頭を低くするよう、乗客へ伝えます。床から高さ30cmの部分に、比較的新鮮な空気があるからです。

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まず軽くジャンプするようにスライドへ。
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空中で正しい前傾姿勢をとって……。
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そのままお尻から着地、スライドで滑り降りる。

 地上へ脱出するスライドの準備がととのい、脱出する際、すべり台のように座ってから下へ降りるのは正しくありません。軽くジャンプするように機内から出て、お尻からスライドへ着地。そのまま滑り降りるのが正しいスライドの滑り方だそうです。

 スライドを降りる際は前傾姿勢をとります。仰向けに近い状態になると、スピードが出てしまうからです。また、スライドに手を付けてはいけません。摩擦で熱くなってしまいます。

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実際はスライドの滑り終わりに補助してくれる人がいる。
スライドの上から陸を見る。一般的なすべり台より急と思われる。
施設で救難訓練の研修を受けるJALグループの社員。

 こうした緊急脱出の際、手荷物は置いていく必要があります。実際にそうした事態へ遭遇したとき、一緒に持っていきたいものもあるでしょう。しかし手荷物をおなかに乗せてスライドを滑ると、正しい前傾姿勢がとれずスピードが出てしまうなどして、ケガをする可能性があります。

 先述したCAではない、JALグループ社員を対象とする救難訓練研修は、こうした脱出のとき、「手荷物を持たないで」と乗客に徹底させ、パニックコントロール、声かけなどでCAをサポートできるようにする、という目的があるそうです。

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コメント

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5件のコメント

  1. 実際に使わないに越したことはないが。ただ、外国の航空会社で同様の訓練、研修をきちっとしているかどうかが問題。特に・・・

  2. とは言え、いざというときは助からん。
    32年前のように、訓練そのものを生かせないケースがほとんどだろう。

    ただ、あの1件以来、日本の航空会社が死亡事故を起こしていないのは賞賛すべきだろう。
    色々叩かれつつも、安全対策に関してはピカイチなのだ。

    • 何年か経過してフライトレコーダーが公開されて一部を聴いただけでも身震いしたよ、あの状況でも冷静に機をたて直そうとする操縦席のやりとりこそ今の安全への基板だと思うし、逆にあれ以来油圧系統を分けるバックアップ技術は自動車の技術にも応用されたりあの犠牲の中で様々な業界が多くを学んだと思う、

  3. 日本の国内航空会社は最近重大事故は少ないにしてもインシデントは散発しているのでハインリッヒの法則からするとそろそろなにか起こしてもおかしくない。
    …そう考えて、「勝って兜の緒を締めよ」ではないですが、ちまたの安全神話などの声に浮かれることなく、日々の訓練やハード・ソフト両面の安全対策を着実に実施していただきたいものです。

    先日の東海道新幹線の停電事故のように「もしものときに備え普段から乗客の皆様を下り線から上り線の救援列車に移す訓練してます」とアピールしておきながら缶詰にされたら、それこそ航空事故ではかないませんので。

  4. ともあれ行動の理由を含めて知っておくにこしたことはないし、訓練に参加してみたいものである。