飛行機からの緊急脱出、覚えておきたいポイント 手荷物NG、救命胴衣は座席NGのワケ(写真37枚)

脱出場所が海上だったら? 座席で救命胴衣を膨らませるのがNGなワケ

 海上で緊急脱出する場合は、救命胴衣やボート(救命ラフト)を使います。

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実際に水が張られているプールへ、機内から脱出する。
さまざまな状況を設定できる訓練模型。
救命胴衣の使用方法を説明する。

 ただ注意が必要なのは、救命胴衣を膨らませる場所です。膨らむと圧迫され、下も見えなくなるため、座席でやってしまうと脱出に時間を要してしまいます。そのため救命胴衣はボートに乗る直前、もしくは翼の上に出てから膨らませるとのこと。ちなみに、近年の「シングルチャンバータイプ」という救命胴衣は軽く、着用しやすくなっているそうです。

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救命胴衣。膨らみが足りない場合は赤い管から口で吹き込む。
外の状況を確認し、ドアをあける。

 スライドやラフトは非常口などのドア下部に収納されており、それを展開して脱出します。またスライドにはラフトにもなるものと、スライドの機能だけのものがあり、後者は海上では使いません。

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ラフトへ移動する直前に救命胴衣を膨らませる。
水に浮かぶラフトへ乗り込む。
移乗が完了したら、ラフトを機体から切り離す。

 脱出が完了したのち、ラフトには雨でも晴れでもオレンジ色のテントを張ったうえ、ほかのラフトと連結します。捜索隊から見つけやすいように、海上でオレンジの色を大きく、目立つようにするといった目的があるそうです。

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オレンジ色のテントをラフトに張る。
ラフトに用意されているサバイバルキット。

 なおラフトには「サバイバルキット」が用意されており、魚の種類、星の読み方などが書かれたサバイバルのマニュアル、雨水を飲料水にする錠剤、鏡などが備えられています。鏡は光の反射で見つけてもらうためといいます。

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いざというときの非常食。
必要なとき、上から飛び出てくる酸素マスク。

 異常事態に備え、飛行機には非常食も用意されています。ビスケットバーが240kcal、ゼリーが59kcalと、サイズの割に高カロリーなのが特徴です。そのビスケットバーを食べてみましたが、非常食なので違って当然ですけれども、ビスケットというより和三盆のような食感、味でした。

【了】

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Writer: 恵 知仁(乗りものライター)

鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。

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コメント

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5件のコメント

  1. 実際に使わないに越したことはないが。ただ、外国の航空会社で同様の訓練、研修をきちっとしているかどうかが問題。特に・・・

  2. とは言え、いざというときは助からん。
    32年前のように、訓練そのものを生かせないケースがほとんどだろう。

    ただ、あの1件以来、日本の航空会社が死亡事故を起こしていないのは賞賛すべきだろう。
    色々叩かれつつも、安全対策に関してはピカイチなのだ。

    • 何年か経過してフライトレコーダーが公開されて一部を聴いただけでも身震いしたよ、あの状況でも冷静に機をたて直そうとする操縦席のやりとりこそ今の安全への基板だと思うし、逆にあれ以来油圧系統を分けるバックアップ技術は自動車の技術にも応用されたりあの犠牲の中で様々な業界が多くを学んだと思う、

  3. 日本の国内航空会社は最近重大事故は少ないにしてもインシデントは散発しているのでハインリッヒの法則からするとそろそろなにか起こしてもおかしくない。
    …そう考えて、「勝って兜の緒を締めよ」ではないですが、ちまたの安全神話などの声に浮かれることなく、日々の訓練やハード・ソフト両面の安全対策を着実に実施していただきたいものです。

    先日の東海道新幹線の停電事故のように「もしものときに備え普段から乗客の皆様を下り線から上り線の救援列車に移す訓練してます」とアピールしておきながら缶詰にされたら、それこそ航空事故ではかないませんので。

  4. ともあれ行動の理由を含めて知っておくにこしたことはないし、訓練に参加してみたいものである。