船とヒアリの悩ましい関係 生態系を守る、特定外来種との「いまそこにある戦い」とは

2017年6月に国内で始めて確認されたのち、発見報告が相次ぐヒアリは、国内の生態系を壊しかねない特定外来種です。どのようにやってきて、そして現場ではどのような対策を施しているのでしょうか。

ヒアリ対策、日本郵船の場合

 年間1200万TEU(コンテナの国際規格である20フィートコンテナ換算で1200万コンテナぶん、の意。2016年実績)のコンテナ貨物を取り扱う日本郵船は、「基本的には、貨物を陸揚げしてからの対策になります」といいます。

 同社は神戸港でのヒアリ確認の環境省発表を受け、同時期に発見された特定外来生物のアカカミアリとあわせ、6月26日付で対策マニュアルをを東京、横浜、神戸の同社コンテナターミナル、バンプール(空のコンテナを一時的に保管しておく場所)、CFS(Container Freight Station、コンテナに貨物を詰めるための倉庫)に配布したそうです。

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コンテナターミナル従業員に回覧している対策マニュアルとヒアリの写真、配備したスプレー式殺虫剤(画像:日本郵船)。

「対策マニュアル」には、発見したら速やかな連絡を徹底することや、肌の露出を避け、素手で絶対触らないようにという安全面への対策、殺虫剤の常備など駆除に関する対策などがまとめられ、見分け方を図解した大きな写真が添付されていました。

「貨物の揚げ・積みの荷役の際に加え、お客様に貨物を引き渡すためにターミナルから貨物が出る際と、コンテナの中身を出したあとの空コンテナを船会社に返却する際に、ターミナルの作業員が通常のダメージなどのチェックと合わせ、ヒアリの点検を行ってます」(日本郵船)

 ほかターミナル内にベイト剤(毒餌)を仕掛けるなど常時、防除に努めているといいます。

「相手はアリなので、目視での確認は難しい部分もありますが、船会社として国内への侵入・定着を防ぐよう、国や地方公共団体と連携し、しっかりと対策を行っております」(日本郵船)

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日本郵船東京コンテナターミナルにて。受付に殺虫剤とベイト剤(毒餌)を配備(画像:日本郵船)。
日本郵船東京コンテナターミナルにて。緑色の小さな固形物がアリ駆除用のベイト剤(画像:日本郵船)。

 このように、ヒアリ対策は2017年8月現在、官民が総力を上げ、各地で徹底して実施されています。功を奏すれば、その侵入を防ぎきれるかもしれません。

 一方で我が国は、同様な事例で特定外来種の侵入、定着を許してしまった経験もしています。記憶に新しいところでは、セアカゴケグモが挙げられるでしょう。

 セアカゴケグモはオーストラリア原産の小型のクモで、メスは毒を持っており、かまれると重症化する場合があります。1995(平成7)年、大阪府の港湾地域にて、輸入資材などに付着して入ってきたと見られるものが初めて確認されました。以来20年あまり、2016年11月の時点では43の都道府県で確認されており、一部地域ではすでに定着し、生息域を広げているものと見られています(環境省発表資料、2016年11月10日)。2017年8月19日には、千葉県内の公園で50匹が見つかったとの報道もありました。

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コメント

1件のコメント

  1. 船舶からの特定外来種問題は、今回のようなコンテナ貨物のみならずバラスト水の排出、注入などでも引き起こされますし、密輸や密入国でも起こり得ます。今回の件は氷山の一角と見るべきです。

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