船とヒアリの悩ましい関係 生態系を守る、特定外来種との「いまそこにある戦い」とは

特定外来種の定着は防ぎきれないものなのか?

 特定外来種生物は侵入を許してしまうと、完全に駆除することはなかなか難しいようですが、しかし、関係者による長年のたゆまぬ努力により、一度国内に定着してしまったものを根絶することに成功した例もあります。

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特定外来生物のカナダガン。原産地は北アメリカ(画像:環境省)。

 それは、大型鳥類としては初めて特定外来生物に指定されたカナダガンです。1985(昭和60)年、静岡県富士宮市で繁殖が確認され、関東地方を中心に定着が進んでいたといいます。絶滅が危惧される在来種シジュウカラガンとの交雑が懸念され、農作物への被害もあり、2014年5月、特定外来生物に指定されました。そののち、関係者間の対策が進んだ結果、2015年12月に根絶が確認されました(環境省発表資料、2015年12月8日)。

 ガンとアリでは大きさも数も、発見のしやすさも大きく異なりますが、逆にその行動範囲の広さはアリと比べ物になりません。そうしたガンでも、根絶に成功しました。環境省は上述の発表資料において、「個体数拡大の初期に対応し、被害の未然防止がされた良い事例であり、特定外来生物に指定された外来生物においては、初めてとなる国内での野外根絶になると考えられます」としています。

 ヒアリはいままさに、水際での防除のさなかです。環境省や国土交通省、地方公共団体などはもちろん、前述の日本郵船などの民間企業もその対策に追われ、日本の生態系を守るための戦いを繰り広げています。

 もしも万が一ヒアリを発見したとしても、素人のむやみな駆除はむしろ拡散の恐れもあるといい、またかまれて負傷する可能性もあります。環境省は、見つけた場合すみやかに地方環境事務所などへ通報するよう、広く呼び掛けています。

【了】

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コメント

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1件のコメント

  1. 船舶からの特定外来種問題は、今回のようなコンテナ貨物のみならずバラスト水の排出、注入などでも引き起こされますし、密輸や密入国でも起こり得ます。今回の件は氷山の一角と見るべきです。