「赤い丸ノ内線」500形 苦労のりこえ復元、その目的は 丸ノ内線再走行、実現なるか?(写真134枚)
いろいろあった500形復活への苦労 いつか再び丸ノ内線のホームへ
ただ、500形の里帰りと復元にあたっては、苦労も少なくなかったといいます。
税関手続きなどで、アルゼンチンの港にしばらく留置されたことから、落書きの被害が大きく、その除去が大変だったほか、塩害による腐食も。また、ボルトの位置が不明なほどホコリがたまっていた、ドアステップ取り付けのためアルゼンチンで床に穴が開けられていた、そして直すにしても材料や治具がない、といった難しさがあったそうです。
東京メトロの常務取締役 留岡正男さんによると、持ってくる算段が一番苦労したといい、船の運搬の調整が大変だったとのこと。
また、開けると元に戻すのが大変な、見たことのない昔の機器が設置されていたり、金属だった配管がゴムに金属テープを巻いたものに替えられていて東京メトロの安全基準には合わなかったり、といったこともあったといいます。
復元にあたっては、東京メトロの若手がプロジェクトチームを結成。500形の現役時代を知るベテランによる指導のもと作業が行われ、東京メトロの留岡常務によると、復元の時点で教育になっているそうです。
また費用について、総額でいくらとは言えないものの、教育のためでもあることを考えると、得られるものがそれ以上に大きいため、この点が議論になったことはないそうです。
500形は今回、1次補修が完了。今後、自走できる状態に整備されますが、信号設備などの関係から、丸ノ内線を再び走行することは困難です。そのため今後も、このたびのような車両基地イベントでの公開が考えられます。
ただ、東京メトロの留岡常務は「止まると(走行中に故障したら)困るところに行きたいな、と思っています」。500形の丸ノ内線再走行は、障壁が多いものの東京メトロが目指す可能性のひとつではあるそうで、そのホームに赤い電車が再び現れる未来、訪れるかもしれません。
【了】
500形が丸ノ内線の本線上に出るには現在のCS-ATCを装備しなければならない訳だが、電気指令式ブレーキ前提のシステムをどう対応させるかが見物と言える。