誤差0.1秒で到着 列車運転士「定時運転」どう実現? 線路に目標、編成の性格見抜き(写真14枚)
列車の運転免許取得にあたり、「定時運転」というチェック項目があります。東京メトロ南北線でその職人技を取材したところ、誤差わずか0.11秒という結果も。運転士はどのようにして定時運転を実現しているのでしょうか。
編成によって「個性」がある電車
指導員「市ケ谷から四ツ谷駅間、運転時間1分30秒です!」
運転士「はい! 点灯! 点滅! 進行! 出発!」
こうして市ケ谷駅を発車した東京メトロ南北線の試運転列車は、ほどなく次の四ツ谷駅に到着。そのとき計測された運転時間は「1分29秒89」。誤差、わずか0.11秒でした。
これは電車の運転免許(動力車操縦者運転免許)取得時にチェックされる、「定時運転」と呼ばれる項目。東京メトロは1秒もずれない運転技術の習得を目標にしているといいます。
「運転する編成によって、ブレーキ力が違います。また南北線は、編成により4M2Tだったり3M3Tだったりするので(注:かんたんにいえば、編成によってモーターの数が違う)、運転ではその違いを考える必要があります。今回運転した9000系電車の13編成は4M2T(注:モーターが多い)でパワーがあるため、早めにノッチオフ(注:アクセルオフ)。そしてブレーキの効きが後半で変わってくるため、5km/h以下になったとき、特に注意しました」(東京メトロ 南北線乗務管区 運転士 奥谷龍一さん)
定時での運転を目指すにあたって、運転士は「この標識でブレーキかけると20秒で停車する」というように、線路脇に目標物を設定するといい、「ホームドア何枚目」という形の目標設定もあるとのこと。ただ、やはり地下は地上より、目標にできるものが少ないそうです。
ちなみに、どういう“個性”をもった編成が運転しやすいかについては、運転士の好みもあるため、一概にはいえないのだとか。また加速やブレーキの具合は、乗車人数などによっても変わってきます。
なお東京メトロ南北線は通常、「ATO(Automatic Train Operation:自動列車運転装置)」を使い、運転士がボタンを押して自動的に発車、走行、停車という形で運行されていますが、技量維持のために運転士は月二回、営業列車で手動運転を行っているそうです。
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Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)
鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。
月2回で維持可能というのはすごいが、ATOとの定時運転の定時率の比較をしてほしかった。なんかタイトルと比べて内容があっさりしすぎ。