地下鉄なぜ道路の下を通る 背景にある「工法」と「権利」、法律の整備で新たな展開も
地下鉄の多くは道路の下に建設されています。工事方法や権利問題などがおもな理由ですが、最近は新しい法律の制定により、道路下を通らない地下トンネルを建設しやすくなりました。
昔からの工事方法は道路下が建設しやすい
「地下鉄」とは「地下を通る鉄道」のこと。少しだけ地上に出たりすることもありますが、線路の大半は地下トンネルに敷かれています。
地図では、道路と地下鉄(地下トンネル)の記号が重なって記されていることがほとんどで、地下鉄は道路の下に建設されることが多いことを示しています。ただ、地下にトンネルを建設するなら、道路の下を通る必要はないはず。なぜ道路の下に建設されることが多いのでしょうか。
ひとつには、道路の下に建設する方が工事しやすかったということがあります。
1927(昭和2)年、日本初の地下鉄として開業した東京メトロ銀座線の浅草~上野間は、浅草通りに大きな溝を掘り、そこに箱型のトンネルを構築して埋め戻しました。このような工事の方法を「開削工法」や「オープンカット工法」などと呼び、いまでも地下駅の部分でよく使われている方法です。
開削工法は、ほかの方法に比べて比較的簡単に地下トンネルを構築できます。ただし、地上から下へ掘り進むわけですから、地上に民家やビルなどがあると、掘ることができません。まずは民家やビルを撤去してから掘らなければならないのです。その点、道路なら撤去しなければならないものが少なく、すぐに工事に取りかかることができます。そのため、道路の下に地下鉄を建設することが多かったのです。
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