地下鉄なぜ道路の下を通る 背景にある「工法」と「権利」、法律の整備で新たな展開も

法律で変わる地下トンネルのルート

 しかし、国や地方自治体が所有する道路の下なら、区分地上権の購入費用はそれほどかかりません。道路を保有する自治体が地下鉄も建設すれば、そもそも買収する必要もなくなります。こうしたことから、シールド工法が一般的になったいまも、道路の下に地下鉄を建設することが多くなっています。

 ちなみに、2001(平成13)年には「大深度地下の公共的使用に関する特別措置法」(大深度地下利用法)という法律が施行されました。

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リニア中央新幹線の工事現場。首都圏と中京圏の地下トンネルは大深度地下利用法に基づき建設される(2017年8月、恵 知仁撮影)。

 この法律は、地下40m以下の非常に深い地下に公共施設を建設する場合に限り、国土交通大臣の認可を受ければ土地所有者への補償を不要にするというもの。これにより、地上に民家やビルがあっても地下トンネルを建設しやすくなり、道路の下を通るルートを選ぶ必要がなくなりました。

 初めて大深度地下利用法の適用対象となったのは、2007(平成19)年に認可された神戸市の送水管。鉄道の建設では、首都圏と中京圏に建設される中央新幹線の地下トンネルで大深度地下利用法が適用されます。

 将来的には、大深度地下利用法に基づく「道路下をほとんど通らない地下鉄」が建設される日が来るかもしれません。

【了】

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コメント

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1件のコメント

  1. 東京-大阪間の地下を真空チューブ列車が走れる様になるのか!