楕円の観光電車「ひえい」完成 比叡山・鞍馬山・神秘・時空をイメージ 叡山電鉄(写真50枚)
楕円に込められた「神秘」と「超時空」
車体の両端は、上下に長い楕円形の「リング」を設置。運転室の窓もリングの内側にあり、ユニークなデザインになりました。側面の窓も楕円形に変わり、とくに運転室後方のドアと車体中央の楕円窓は、足元から天井近くまで大きく伸びています。
車内の設備も大きく変わりました。座席は着座位置を明確にしたバケットシートを採用。地図の等高線などをイメージしたデザインも施されています。手すり棒は曲線を取り入れ、車体両端にある楕円形のリングと連なるようにデザインされました。
このほか、車体中央の大きな楕円窓がある部分は立席スペースとし、腰あてクッションを設置。「大きな楕円の窓から上下にダイナミックな眺望」を楽しめるといいます。
車両のデザインに楕円を取り入れたことについて、叡山電鉄は「『比叡山』と『鞍馬山』の持つ荘厳で神聖な空気感や深淵な歴史、木漏れ日や静寂な空間から感じる大地の気やパワーなど、『神秘的な』雰囲気や『時空を超えたダイナミズム』といったイメージ」を楕円で表現したとしています。
「ひえい」は観光用車両という位置付けですが、通常のICカードや乗車券で乗ることができる、一般の列車として運転されます。初日の3月21日は、出町柳12時22分発の八瀬比叡山口行きから営業運転を開始。その後は火曜日を除き、叡山本線の出町柳駅から比叡山方面へのケーブルカーの乗り換え駅になる八瀬比叡山口駅まで毎日運転される予定です。
また、車両のデザインは比叡山と鞍馬山のイメージを取り入れていますが、鞍馬方面に営業運転する予定はいまのところありません。叡山電鉄の関係者は「車両のデザインは会社全体としての叡山電鉄のイメージ。比叡山方面は『ひえい』、鞍馬方面は『きらら』です」と話し、「ひえい」と「きらら」で役割分担を図っていく姿勢を示しました。
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Writer: 草町義和(鉄道ニュースサイト記者)
鉄道誌の編集やウェブサイト制作業を経て鉄道ライターに。2020年から鉄道ニュースサイト『鉄道プレスネット』所属記者。おもな研究分野は廃線や未成線、鉄道新線の建設や路線計画。鉄道誌『鉄道ジャーナル』(成美堂出版)などに寄稿。おもな著書に『鉄道計画は変わる。』(交通新聞社)など。
この前面は好きになれない。唐突感がありすぎて必然性を感じないデザイン。