渋谷駅の埼京線ホームはなぜあんなに離れているのか 移転と転用、繰り返した歴史
多数の路線が乗り入れる渋谷駅のうち、JR埼京線のホームはひときわ離れた位置にあります。現在、そのホームを山手線ホームの隣に移設する工事が行われていますが、そもそもなぜ離れた場所にあるのでしょうか。
もともと貨物用ホーム それ以前は…?
JR埼京線と湘南新宿ラインの新宿~大崎間で、2018年5月25日(金)から27日(日)と、6月1日(金)から3日(日)にかけ、それぞれ約46時間にわたり列車が運休する大規模な線路切り替え工事が行われます。期間中、山手線は通常どおり運行されますので、それに乗り換えればいいとはいえ、かなり不便です。
これは渋谷駅改良工事の一環として実施される工事です。渋谷駅の埼京線と湘南新宿ラインのホームは、山手線のホームから南に350mほど離れていて乗り換えに時間がかかりますが、この改良工事がすべて完了すれば、山手線ホームの東隣に移ります。2018年6月以降も数回、このような大規模工事が予定されており、「一時の不便」を乗り越えれば、山手線と埼京線、湘南新宿ラインの乗り換えが便利になるのです。
ただ、そもそも埼京線と湘南新宿ラインのホームを最初から山手線ホームのそばに造っておけばよかったはず。なぜ離れているのでしょうか。渋谷に関する歴史資料を収集・展示する白根記念渋谷区郷土博物館・文学館に話を聞きました。
――埼京線と湘南新宿ラインのホームは、なぜ各線から離れた位置にあるのでしょうか?
埼京線と湘南新宿ラインのホームがある場所には、もともと貨物用のホームがありました。それが使われなくなってしばらくしてから、1996(平成8)年に埼京線が新宿から恵比寿まで延伸されるのに伴い、旅客用ホームを新設したものです。
――貨物用ホームが造られる以前は、何もなかったのでしょうか?
いえ、1885(明治18)年に開業した当時の初代渋谷駅が、現在の埼京線と湘南新宿ラインのホーム付近にありました。大正時代に、現在のハチ公口側へ駅が移転したのです。これに伴い旧駅の施設が貨物用に転用されました。
埼京線ホームが移転したら、同ホーム上の新南口に隣接したホテルメッツどうすんだろ。
駅を降りて徒歩1分が売りなのに、駅が移転したら一気に遠くなるぞ。