板門店、非武装地帯を歩く 朝鮮半島38度線周辺 あの会議場から分断鉄道、DMZ米まで
緩衝地帯(CCZ)も往く
DMZ内にはなんと住民も多く住んでいます。住民の多くは農業を営んでおり、ここで作っているDMZ米はみやげ物として人気があります。その村は通称「自由の村」と呼ばれています。軍事境界線からたった500mしか離れていません。
DMZの外側には、民間人出入統制区域という緩衝地帯があります。英語表記のCivilian Control Zoneを略して「CCZ」と呼びます。トラサン駅もこのなかにあります。
CCZ内の道路脇には、有刺鉄線のついたフェンスがあったり、畑の真ん中に機関銃座が置かれていたりと、やはり最前線であると思い知らされます。なかでも衝撃的なのが、まるで歩道橋のように、道路をまたぐ巨大なコンクリート建造物です。これは北朝鮮軍が攻めてきた際に、柱を爆破し、道路に落として、通れなくするために使います。この大きさだと、戦車でも乗り越えられません。道路の脇に箱が等間隔に並べられている細い道もあります。箱の中には爆薬が入っており、道路に穴をあけ、車両を通れなくするためのものです。このように、ほとんどの道路には細工が仕掛けられています。
そこで、北朝鮮は、DMZからCCZをも抜けて南進するため、いくつか地下トンネルを掘りました。しかしながら、韓国側に発見されてしまいます。なんと見学可能です。私が、「まだ発見されていない地下トンネルはありますか?」と韓国軍兵士に尋ねると、「それは私たちも知りたいので教えて(笑)」と冗談で返されました。
韓国の旅行会社では、DMZツアーは必ず取り扱っており、今回ご紹介した場所についてはほとんど行けます。ただ、各社ツアー内容が異なるので、「とにかく板門店に行きたい!」「世界最後の軍事境界線をこの目で見たい」「秘境の鉄道に乗りたい」などなど、それぞれの興味にマッチするかどうか留意したほうがよいでしょう。
【了】
Writer: 菊池雅之(軍事フォトジャーナリスト)
週刊誌カメラマンを経てフリーの軍事フォトジャーナリストとなる。安全保障をテーマに世界中を回り、週刊誌や専門誌等に執筆。最近ではテレビやラジオ出演、講演などもこなす。「イチから分かる自衛隊最前線レポート」(EX大衆・双葉社)、「最新国防ファイル」(夕刊フジ)など連載を多数持つ。
日本も核武装しないとね