新幹線で夜行列車が走っていないのはなぜ? かつては運転の計画もあったが…

「全国ネットワーク」想定して寝台車を試作

 東海道新幹線に続いて山陽新幹線の建設が1960年代に計画されると、今度は旅客夜行列車の運行が考えられるようになりました。当時の計画では東京から九州の福岡(博多)までの所要時間が約7時間とされていましたから、飛行機の最終便より遅く出発して始発便より早く到着する、便利なダイヤを組むことが可能になります。

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山陽新幹線の姫路駅は「単線運転」に対応するため列車待避用の線路を増やして建設された(2017年6月、草町義和撮影)。

 0~6時台の保守作業時間は「単線運転」で対応することに。上り線を保守する日は下り線を走行し、逆に下り線を保守する日は上り線を走らせることが考えられました。

 しかし、これでは上下の列車が行き違いできなくなります。そこで、姫路駅には待避線を設置。姫路駅から約20km博多寄りにも待避線を設けた相生駅を建設し、上下の夜行列車が行き違いできるようにしました。このときの計画が実現していれば、東海道・山陽新幹線の東京~博多間が全通した1975(昭和50)年から新幹線の夜行列車が運行されていたかもしれません。

 いっぽう、1970(昭和45)年には新幹線による全国ネットワークの整備を促進するための法律「全国新幹線鉄道整備法」が公布。東京~札幌間などの長距離で夜行列車を運転する可能性も出てきました。そこで国鉄は1973(昭和48)年、961形試作電車を開発。1編成6両のうち3号車を食堂車、4号車を寝台車とし、夜行列車で使う車両のデザインを検討したのです。

 しかし、その後は国鉄の経営悪化や騒音の問題などがあり、旅客夜行列車の計画も立ち消えになってしまいました。

 また、昼間の新幹線や飛行機の発達により夜行移動の需要が小さくなったこと、さらに低価格の夜行高速バスが発達したことなどにより、在来線の夜行列車は大幅に減りました。こうした状況では、新幹線で夜行列車を運転しても採算が取れる可能性は低いでしょう。こうしたことも、新幹線で夜行列車が実現しない理由のひとつになっていると思われます。

 ちなみに、中国には高速鉄道と在来線の両方を走れる寝台車があり、北京~上海間や北京~広州間などを結ぶ夜行高速列車が運転されています。中国の高速鉄道も深夜帯は保守作業を行う時間になっているようですが、夜行高速列車は運転する日を限定したり、深夜帯は在来線を走ったりすることで対応しているようです。

【了】

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コメント

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3件のコメント

  1. 東海道新幹線には開業直後の1964/1965年の年末年始だけ臨時として午前0時をまたいで運転された夜行列車が存在した。
    これは限られた数しか無かった当初の新幹線車輌を帰省ラッシュの時に有効的に使う苦肉の策であったと聞いている。

  2. その昔鉄道ジャーナル誌に新幹線夜行列車あさかぜという架空旅行記が。
    姫路周辺のいくつかの駅で24時~6時をやりすごす構想だった。

  3. 夜行列車があればシンカリオンのエロ同人が捗るのに