「トレンディ」「アーバン」…時代を映す高速バスの「愛称」 近年は「ブランド」へ

ズバリ「トレンディ」! 社会的話題になった愛称も

 路線愛称が社会的な話題になったこともあります。1989(平成元)年、福岡~宮崎間に開業した「フェニックス号」(当時は西日本鉄道/宮崎交通/九州産業交通)のことです。

 当時、若者の都会的なライフスタイルを取り上げた「トレンディ・ドラマ」が人気を集めるなど社会全体で都会志向が強く、また福岡市では商業施設の開店が相次いでいました。週末が来るたび、宮崎の若者が福岡にショッピングに出かける姿を、新聞社が「フェニックス族」と名づけたのです。民営化直後のJR九州が、それに対抗して、長崎から福岡へ向かう若者を「かもめ族」(「かもめ」は同区間の特急電車の愛称)と名づけようとしたくらいですから、「フェニックス族」は九州では相当認知されていたはずです。

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運行開始当初の宮崎交通「フェニックス号」(画像:宮崎交通)。

 ずばり「トレンディ号」という愛称の路線もありました。1990(平成2)年に開業した大阪~八王子線(近畿日本鉄道<現・近鉄バス>/西東京バス)です。当時、最もトレンディ(?)だった流行語を愛称として採用したことで、逆に数年後には古臭く感じてしまい、ネーミングとしては残念でした。同路線はその後、姉妹路線である「ツインクル号」(大阪~新宿)に統合され現在に至ります。

 このころ、全国で高速バスの新規開業ラッシュが続いていました。1980年代半ば、高速道路が全国で延伸開通するとともに、運輸省(当時)が高速バスの「共同運行」を認めたことが背景にあり、こんにち運行されている路線のほとんどがこの時期に生まれたものです。「フェニックス族」現象も、「トレンディ号」という愛称も、バブル期の強い都会志向が高速バス市場成長の背景にあったことを象徴しています。

 なお、「トレンディ」と名付けた近鉄のために補足すると、当時、同社の夜行高速バスは、日野自動車製のスーパーハイデッカー車両「グランデッカー」に、愛称をモチーフに路線別にデザインした専用塗色(デザインのテイストは各路線共通)が施され、大変スタイリッシュに見えました。また、新宿線「ツインクル号」の成功を受け開設した大宮線を、天体に関連した用語を用いて「ツインクル」と統一感を持たせつつ、「衛星都市」を結ぶという意味も込めて「サテライト号」と名付けたのは秀逸でした。

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コメント

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3件のコメント

  1. まあブランドも大切だけど実際の運行会社の明記と運行形態の案内があまりにも乏しすぎて困りますね。
    どこぞのブランドのように事故したら孫請会社がぽっこり顔出して乗務員が11日連続勤務であったりとか?
    法的には男性も乗ることが可能なレディース号なんて乗り合い運行でありながら男性に見えりゃ業者が単に切符売らないか、改札で通せんぼするだけの実力行使バスだし
    またJRバスなど外国産2階建てバスを試験的に導入するも運行区間は首都圏からリゾート地の中近距離営業に止まり、規制厳しい今こそ規約をもう少し利用者に周知してもいいと思いますが
    何かイメージダウンを気にして各社本題の乗り合いや貸しきりと言った肝心の規約の区切りを示さないのはどうかと思いますがね

    • 少し脱線。

      そういや、この乗りものニュースでJRバス関東がアストロメガ入れた旨、記事で取り上げましたっけ?

      おーい、コテコテのネタはちゃんと取り上げろよ事務局さんよ。

  2. ちなみにフェニックス族の元ネタは
    「かもめ族」「つばめ族」だ。