フランスがアジア太平洋で活動強化のワケ フリゲート艦「ヴァンデミエール」の役割

任務拡大が意味することとは?

 フランス海軍が発表した、「ヴァンデミエール」をはじめとする哨戒フリゲートの新たな任務とは、「国際法に従い、領土問題などをかかえる係争地域で海と空における移動の自由の原則を確認する」ことです。

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右の米アーレイバーク級ミサイル駆逐艦「マイケル・マーフィー」と比較すると、左の「ヴァンデミエール」はひと回り小さい(画像:アメリカ海軍)。

 つまり、従来は海外領土の防衛やその周辺の治安維持などを主たる任務としてきた哨戒フリゲートが、そこからさらに発展して「航行の自由(領海の外側にある海や空の上ならばだれでも自由に移動できるという国際法の原則)」を確認することも同様に任務とするようになったということです。

 では、この任務拡大にはどのような背景があるのでしょうか。

背景にフランスのアジア太平洋に対するまなざし

 実は、フランスはアジア太平洋と非常に強い結びつきを有しています。

 まず、フランスは南太平洋やインド洋などにニューカレドニアやポリネシアといった広大な領土を有していて、そうした領土の周辺に広大な排他的経済水域(EEZ:領土の周囲200海里以内に設定し、そのなかにある資源を自国が排他的に開発できる水域)を保有しているために、フランスの排他的経済水域はアメリカに次ぐ世界第二位の広さを誇っています。

 また、フランスの領土である以上、そこには当然多くのフランス人が居住していて、フランス国防省が公表している資料によれば、その総計はなんと約150万人にものぼります。

 さらに、フランスからアジア太平洋への輸出や、逆にアジア太平洋からフランスへの輸入といった経済的なつながりもあります。

 つまり、フランスにとってアジア太平洋は自国から遠く離れた地域などではなく、まさに自国が直接面している地域なのです。

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