旅客機と戦闘機などが同じ滑走路「共用空港」のナゼ 茨城空港に見るその経緯や特徴

共用空港、赤字続きになったらどうなる?

 かつて、石原元東京都知事は「横田基地の軍民共用化」プランを掲げたことがありました。都知事選の際にはなにかと話題になりますが、今後、共用空港は増えていくのでしょうか。

 国土交通省は2018年6月現在、「現在進行中の共用空港計画は無い」といいますが、茨城空港のように自治体からの要請があれば新たな共用化の可能性はあるかもしれません。

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茨城と上海を結ぶ定期路線を運航する春秋航空のA320-200(石津祐介撮影)。

 ところで、茨城空港は前述のように、地域活性化のために共用化したという経緯がありますが、計画が持ち上がった当初から、近くには名実ともに日本の玄関口といえる巨大な成田空港がありました。これに比べ便数や交通の便で茨城空港が不利なことはもちろん明確だったわけですが、どのような勝算、言うなれば、どのような差別化を目指しここまで歩んできているのでしょうか。

「茨城空港はコンパクトな空港のため、旅客動線が短く乗降にかかる時間が短く、空港ビルの目の前に駐車場があり、荷物の搬入・搬出が簡易です。また高速道路ネットワークで東京はもとより北関東、福島などへのアクセスが容易です」と茨城空港は説明します。そうした点で差別化を図り、「元祖LCC対応空港として、旺盛なアジアの訪日需要を受け止めるとともに、首都圏のほか、北関東の航空需要に対応できる空港として発展していきたいと考えています」ということです。

 では、仮に共用空港で航空会社の赤字が続いた場合、共用の取りやめなどはあるのでしょうか。国土交通省に問い合わせたところ、「空港は、各地域において交通・交流を支える重要なインフラであり、かつ、災害時の防災拠点としての機能も有しているなど、空港の果たしている役割や機能は多岐に及んでおり、収支のみでその空港を判断することは必ずしも適切ではない」との回答でした。

 国防の要としての自衛隊基地と、地方発展の要望が取り入れられ誕生した共用空港。茨城空港のように、成田空港との差別化を目指し、今後の地域発展が成し得るのか、また自衛隊や在日アメリカ軍と民間との共存がどのような形で成し得るのか、注視したいところであります。

【了】

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コメント

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2件のコメント

  1. 聞いた話。
    茨城空港に赤地に黄色い星5個の旗の国の飛行機が着陸してくると、空自の格納庫のシャッターが閉まるらしいw

  2. そのへんの「聞いた話」って草も生やさず、こころの中にとどめて置く方がいいと思うんだ、うん。(空自もスクランブル発生の場合の必要上、スプリングエアの離発着だけでシャッター明け閉めするほどそこまで暇じゃないし)。まぁ那覇はぼちぼち軍民分離してもいいと思うんだよな。自衛隊機のアクシデントで嘉手納降ろされたものの一歩も出られず那覇開くまで待たなきゃならん→那覇でやっと降ろされる、てのは可哀想だと思うよ?