クルマはショッピングセンターで売る時代? 路面店があってもテナントに入るワケ

トヨタはSCそのものを自前で運営、その戦略とは

 先述の通りトヨタでは、トヨタオートモールクリエイトが全国4つのSCで「オートモール」を運営していますが、そのうち岐阜市の「カラフルタウン岐阜」、横浜市港北区の「トレッサ横浜」は、同社がSC全体を運営・管理しています。なぜ、トヨタがSCを自前で運営しているのでしょうか。SCへの店舗展開について同社に改めて話を聞きました。

――SCの事業へ進出したのはなぜでしょうか?

 1990年代後半くらいから、ディーラーは「敷居が高い」イメージが少しずつ進展し、お客さまに来てもらいにくいという状況でした。そこで、より立ち寄りやすく、ふだんのショッピングの一環でクルマに触れられ、購入、メンテナンスまでできる365日営業の拠点として最初にオープンしたのが、2000(平成12)年の「カラフルタウン岐阜」です、メンテナンスまで担うということは事業として継続性がないといけませんので、独立採算を確保するためにSCの運営から行ったのです。

 その後「トレッサ横浜」をオープンしましたが、埼玉と大阪に関してはそれぞれ、イオンモール(イオン)さんとアリオ(イトーヨーカ堂)さんに出店のお声がけをいただいたことから実現しています。

――路面店とどう違うのでしょうか?

 当社が展開するオートモールは、クルマの販売や点検整備といった基本的な機能は従来型の路面店と同じです。お客様はSCで1日過ごすことができ、お買いものや映画鑑賞のあいだにメンテナンスを済ませてしまうこともできてしまいます。SCの通路に置かれたクルマに触れたり、ドアを開けたり、ご夫婦でクルマの好みを話されたりと、肩ひじを張らず自由にお楽しみいただいています。

――売り上げも好調なようですが、SC店舗ならではのメリットはあるのでしょうか?

 複雑なしかけをしなくてもお客様の訪店頻度を上げることができる点です。ディーラーには7~8年にいちどしか来ない方もいらっしゃいますが、SCには毎日来る方も少なくありません。訪店サイクルが違うものを複合させ、「行動を起こすもの」を複層にすれば訪店と売り上げにつながるのではないか――このような発想が成立するか否かを4年くらい議論して「カラフルタウン岐阜」をオープンしましたが、おかげ様で18年も継続しています。

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 トヨタオートモールクリエイトの担当者は「思えば1990年代後半から、クルマのコモディティ化が進んでいたのではないでしょうか」と、振り返ります。「コモディティ化」とは、特別なものとされていた商品の価値が下がり、一般的な商品になることです。こうしたこともあり、SCの店舗名には「トヨタ」を一切うたわず、販売チャネルやブランドの垣根も関係ないのだとか。

 そしていま、同社は100年にいちどと言われる自動車業界の変革期を迎え、何ができるかを模索しているそうです。「移動に対するニーズはモノなのか、サービスなのか、はたまた目的地の提供なのか、広大な敷地を持つSCで日々実験しています」と話します。

【了】

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