航路ではなく「道路」、全国に残る渡し船のナゾ 船を「呼び出す」独特の作法も

対岸から旗を揚げて「呼び出す」独特の作法

 渡し船は基本的に、両岸のいずれかに拠点があるので、乗船客がいない場合はその拠点に常駐しています。拠点側に船がある場合、運航する係員に声を掛ければ「道路の代わり」という名目上、たとえひとりでも船を出してもらえます。

 しかし、対岸から利用する場合は、先述のとおり船を呼び出す必要があります。かつては対岸へ向かって大声で船を呼ぶという方法が取られていましたが、現在残っている渡し船では、そのような方式はとられていません。具体的には、「三津の渡し」の場合、港山側の乗り場には船を呼ぶためのボタンが設置されています。

「赤岩渡船」の場合は独特です。葛和田側の乗船場に近い河川敷に黄色い旗が付けられた掲揚台が設置されており、利用する場合は自分でその旗を揚げ、船が向かってくるのを確認したら旗を降ろして乗船場へ向かう、という手順となっています。船を自分で呼ぶ、という体験は、渡し船ならではといえるかもしれません。ちなみに、両岸の船着場の近くまでは路線バスでアクセスでき、バス~渡し船~バスという乗り継ぎも可能です。

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利根川を渡って埼玉県へやってきた赤岩渡船。対岸は群馬県(石川大輔撮影)。

 埼玉、群馬および栃木南部には、「赤岩渡船」に代わる利根川の新橋を架けようとする動きも存在します。千代田町によると、この地域では渡船を中間点として前後10kmにわたり橋がないことから、架橋に対する住民の期待も高いものの、広い川幅がネックとなり実現していないといいます。

 一方の「三津の渡し」をめぐっては、そのような計画はないとのこと。松山市の空港港湾課によると、渡船が結ぶのはたった80mの区間ですが、周辺は漁港であることから船の往来が多く、橋を架けるとそれを阻害してしまうのだそうです。

 今回紹介した2か所以外にも、全国的にまだ渡し船が残っています。いまの時代まで残った事情は様々ありますが、それぞれ、「道路」の代わりとなる地域に欠かせない移動手段として、あるいは観光資源としても活躍しています。もし旅先で渡し船を目にする機会があったら、貴重な体験として利用してみるのもいいかもしれません。

【了】

※記事制作協力:風来堂、石川大輔

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