貨客船「はくおう」北海道地震で被災者支援に参加 なぜ普通のフネが自衛隊の活動に?(写真20枚)

「客船」だからこそ可能な被災者支援を

 乗船すると広い車両甲板を通過します。その中央に客室へ上がるためのエレベーターが設置してありました。被災者が安全に迷うことなく進めるように、三角コーンで道が作られ、張り紙も多く準備されています。

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案内してくれた防衛装備庁の今泉事務官。「はくおう」洗濯室にて(矢作真弓撮影)。

 ロビーまで上がると、そこは豪華客船並みの内装が広がっていました。ロビー入り口には医療相談コーナーが設置され、血圧測定と簡単な問診を行ってくれます。

 受付を済ますと、船内の浴場まで案内されます。浴場は一度に20名ほどが入れる空間になっていて、大きな窓が設置してあることから、外の景色を眺めながらお風呂に入ることができます。

 隣の部屋は洗濯室になっていて、洗濯機と乾燥機を無料で使用することができます。また、無料で使える洗剤も設置されていました。

 再びロビーに戻ると、大きな冷蔵ケースにお茶やソフトドリンクがギッシリと詰め込まれていて、「おひとり様1本まで」との貼り紙が目に入りました。その近くには、持ち帰り自由な子供向け自衛隊関連グッズが置いてあります。

 ロビーの中央にある階段を上がり、更に奥に進むとレストランがありました。ここでは、ゆったりとしたソファーに座りながら、陸上自衛隊第7音楽隊の演奏を聴くことができます。

 一般の客船でいう2等客室が休憩所として開放されていて、ここでは携帯電話などの充電をすることもできます。個室は授乳室として解放されており、必要であればいつもで使える状態になっていました。

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ドリンクサービスコーナー(矢作真弓撮影)。
普段は客室として使用される授乳室(矢作真弓撮影)。
船内で第7音楽隊の演奏を楽しむ利用者たち(矢作真弓撮影)。

 こうした被災者への生活支援は各地の被災地で行われていて、苫小牧に来た「はくおう」は、西日本豪雨の被害にあった広島県でも、同様の被災者支援を行ってきました。また、岡山県では、客室の一部を解放して、宿泊支援も行っています。

【了】

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Writer: 武若雅哉(軍事フォトライター)

2003年陸上自衛隊入隊。約10年間勤務した後にフリーフォトライターとなる。現場取材に力を入れており、自衛官たちの様々な表情を記録し続けている。「SATマガジン」(SATマガジン編集部)や「JWings」(イカロス出版)、「パンツァー」(アルゴノート)などに寄稿。

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1件のコメント

  1. かつては敦賀から小樽を結んでいた新日本海フェリーすずらん、すいせん型、私にとっては太平洋フェリー前いしかりに次ぐ理想のフェリーでしたが特に石川島播磨生まれで当時の同社の船舶より間取りや航行速度に特徴があった事を記憶しております。
    一等室の配置なども建造上の障害を受けにくい各部屋の面積なども平均化された被災地支援にも活躍できる良い船だと思います。