大阪の公園で保存中の国鉄「マンモス」電気機関車 1両なのに「2両」の謎(写真21枚)

最後の1両は「厳重」に管理

 EH10形はその性能を生かし、東京都心の汐留駅(かつて汐留に存在した貨物駅)と大阪市中心部の梅田駅(大阪駅の北側にあった貨物駅)を結ぶコンテナ特急貨物列車「たから号」のけん引などに使われました。

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東淡路南公園の61号機。ホームを模した高台もあり、駅で発車を待っているかのようだ(2018年9月、伊藤真悟撮影)。

 しかし、EF60形など6軸でも強力なモーターを搭載した新型電気機関車が登場してからは、コンテナ特急貨物列車の運転から外れて一般の貨物列車をけん引するように。1975(昭和50)年以降になると老朽化による廃車が始まり、1982(昭和57)年までに全て廃車されてしまいました。

 現在残っているのは、東淡路南公園に保存されている61号機のみ。車体はフェンスと屋根に囲まれて厳重に管理されており、保存状態もそれほど悪くありません。その脇にはプラットホームを模したコンクリートの高台もあり、まるで駅で発車を待っているかのようです。通常はフェンス越しにしか見ることができませんが、ときどき一般公開イベントが行われており、運転台などを見学することができます。

 2車体8軸の電気機関車はEH10形の廃車とともに姿を消しました。しかし、国鉄分割民営化で発足したJR貨物は、1本の貨物列車で重い貨物をたくさん運べるよう、再び2車体8軸の電気機関車の導入を計画。1997(平成9)年に関東と北海道を結ぶ貨物列車のけん引用としてEH500形「ECO-POWER 金太郎」が登場しました。

 のちにEH200形「ECO POWER ブルーサンダー」とEH800形も登場し、2車体8軸の電気機関車は3形式に。EH10形の設計思想がいまに受け継がれています。

【了】

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コメント

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7件のコメント

  1. これが気になる人って、蒸気機関車がテンダーと本体で(1両扱いだが)2車体になっているのはノープロブレムなんだろうか。

  2. 大船~藤沢間に湘南貨物駅という貨物駅がありました。
    幼稚園の頃近くに住んでいたので、よく自転車に乗って近所の友達と電車や貨物を見に出かけていました(当時は幼稚園児だけで結構出かけていましたね)。
    他の機関車と違って黒かったからなのか、他の機関車と違い2両連結だったからなのか分かりませんが、このEH10という機関車だけは今でも鮮明に覚えています。卒園アルバムも橙色の江ノ電バスと黒いEH10の機関車をなぜかクレヨンで描いていました。好きだったのでしょうね。懐かしいです。

  3. 「気かん車内に入らない・・・」字間違えてるよ・・・。

    たしか阪急淡路駅のところのはずですが、もうちょっといいところで保管できなかったのかな?
    この場所にゆかりがあるのならアレですけど・・・(字間違えてるようなとこに)

    • ホントに。東海道の主として一世風靡した名機なんだから京都の鉄博にでも連れてってあげてほしいですな。

  4. JR貨物が永久連結の機関車を導入したのは、旅客会社に支払う線路使用料が重連運転と違って機関車1台の扱いで安くなるからと聞いた事がある。

  5. EH10機関車のおもいで
    鉄路を眺めていると遠くからレール音がして電車か機関車が判ります。
    EF15や10、13は「タタタンタンタンタンタタ」こんな感じで聞こえるので「貨物が来るぞ」が判りました。
    EH10は独特で「たんた・たーた・たんたたん」に聞こえ、友達同士では「東京音頭が来た」なんて言ってました。

  6. EH10って作られた昭和29年当時の技術力では2車体に成らざるを得なかった車両ですね。あの桁外れのデカイ車体と8軸ならではの独特の走行音が好きでした。
    無動回送二両連結した計3重連は圧巻でしたね。