「フリゲート」ってどんな船? 海自の新造艦「30FFM」、「FF」の背後に6世紀の歴史

そもそも「フリゲート」って?

 フリゲートという艦種がいつから存在していたのかについては、あまりはっきりしませんが、遅くとも15世紀には排水量1000t程度で速度性能の高い小型の軍艦が、フリゲートと呼ばれていたようです。

 15世紀から17世紀ごろまでのフリゲートは艦隊決戦時の偵察や、敵国の商船の拿捕、味方の商船を襲う敵の軍艦の撃退など、様々な任務に使用されていました。当時イギリス海軍は敵の商船を拿捕すると乗組員に賞金が分配される仕組みとなっていたため、フリゲートでの勤務は将兵の人気が高かったようです。

 その後、蒸気機関が開発されると、それまでフリゲートが行なっていた任務を担当する軍艦は「巡洋艦」に分類され、「フリゲート」という艦種名称は次第に使われなくなりました。フリゲートが復活したのは第二次世界大戦のことで、イギリス海軍はそれまで商船の護衛を行なっていた小型の軍艦「コルベット」では戦線の拡大に追いつかないことから、駆逐艦よりも小型でコルベットよりも大きく、量産性に優れた、リバー級と呼ばれる護衛艦を建造。このリバー級がフリゲートに分類され、ここで「フリゲート」という名称が復活しました。ちなみに海上自衛隊も草創期に、アメリカ海軍が第二次世界大戦中に大量建造したタコマ級フリゲート18隻の貸与を受けて、くす型護衛艦として運用しており、くす型には「PF(Patrol Frigate)」という艦種記号が与えられていました。

 フリゲートという艦種を復活させたリバー級は満載排水量1900tから2180t、タコマ級フリゲートも満載排水量2250t程度の軍艦でしたが、第二次世界大戦後に建造されたフリゲートはサイズが大きく、武装も強力になっています。

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石油タンカーと衝突し、徐々に水没しつつあるノルウェー海軍のフリチョフ・ナンセン級フゲート「ヘルゲ・イングスタッド」(画像:ノルウェー軍)。

 2018年11月8日に石油タンカーと衝突して、ほぼ水没状態となったノルウェー海軍の「ヘルゲ・イングスタッド」は、同国のフリチョフ・ナンセン級フリゲートにあたりますが、このクラスの満載排水量は5375tで、これは1920年代に日本海軍が建造した軽巡洋艦である球磨型(満載排水量5926t)と大差ありません。武装も主砲と対艦ミサイル、短魚雷発射管に加えて、イージス戦闘システムと、海上自衛隊のあきづき型護衛艦にも搭載されている対空ミサイル「ESSM」の発射装置を装備しており、高い対空戦闘能力を備えています。

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コメント

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1件のコメント

  1. ”フリゲート”って国やその時の軍事情勢で全然意味が違ってくる。
    イギリスは確か今の編成だと駆逐艦が主に対空、フリゲートが主に対潜、対艦任務になってなかったけ?
    アメリカは前は規模が駆逐艦だけどフリゲートを名乗ってた。
    空母の護衛につく原子力船でのちのちミサイル巡洋艦にに分類が変わっている。