フラッシュ厳禁、「儀装馬車列」とは オフィス街に響く馬蹄、漆塗り馬車は100年モノ(写真14枚)
使われているのは100年以上前の馬車
使われている馬車は儀装馬車4号とよばれ、100年以上前の1913(大正2)年に製造された馬車で、いまでも専門家によって大切に維持管理されています。船底型割幌(ふなぞこがたわりほろ)、漆塗で車体の胴は海老茶色、重量1098kg、全長4.51m、幅1.90m、高さ2.24m、2頭曳の座馭式(ざぎょしき。馬を操る馭者〈ぎょしゃ〉が馬車に座るスタイルのこと。馬に乗るスタイルを騎馭式という)4人乗りの馬車で、車体の胴両側に金高蒔絵の菊の御紋章があります。各部はピカピカに磨き上げられていますが、まさに走る美術工芸品といったところです。随行員は6名まで同行できるので、必要に応じて馬車が増やされ、この日は大使の儀装馬車を含む3台で車列が組まれました。
日常では馬車はおろか馬を間近に見る機会もそんなに多くはありません。馬は近くでみると意外と大きく迫力があります。訓練されているとはいえ、クルマも人も多いオフィス街の真ん中です。神経質な馬をコントロールするには気を使うようです。沿道には警官や警備員が配置されますが、馬を刺激しないように撮影でフラッシュを使用しないよう何度も注意されます。外国人観光客が多いので英語でも案内しています。
信任状捧呈式は、2017年には32件行われました。1日で2件(2か国)行うことが通常ですので、時間を合わせて待っていれば馬車列を往復で4回見るチャンスがあります。運行予定は宮内庁のホームページで公表されていますが、悪天候時には自動車列となる場合もあります。
来年の10月22日に予定されている新天皇即位パレード「祝賀御列の儀」には、儀装馬車列を期待したいところですが、警備上の問題など(馬車では万一の際、高速が出せない)から自動車が使われることが決まっています。政府はこのパレードで使用するオープンカー用に国産車を発注することにしていますが、どんな「美術工芸品」になるか注目です。
【了】
馬車列の本当の最後はボロを拾ってく宮内庁の軽トラがついてく。豆な。