軍の人手不足どう対応? 変わりゆく「軍隊」という職場、女性の活用も

昨今、自衛隊が抱える課題のひとつは人手不足ですが、これは世界の主要国の軍隊に共通のものでもあります。軍艦内にある謎の「FEMALE HEADS」を通して眺めた、カナダ軍のリクルート事情とは。

男子禁制といえば…?

 アメリカ海軍横須賀基地にて2018年11月21日(水)、カナダ海軍フリゲート「カルガリー」が報道陣に公開されました。艦長はじめクルーの先導で艦内を見学するなか、見慣れない言葉をかかげる扉が目に付きました。赤地に凝った紋章が刻まれ、その下に白く大きく「FEMALE HEADS」とあり、さらに「緊急時および義務の履行を除き、FEMALE HEADSは男性と隔絶される」といった説明書きが続きます。「FEMALE HEADS」、直訳すれば「女性の頭」となりますが、ここでは「女性の上長」とか「女性組織のトップ」とかいった意味になるでしょうか。カナダ軍隊内にそうした、なんらかの組織があるのかもしれません。

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カナダ海軍ハリファックス級フリゲート「カルガリー」のブリッジと57mm単装速射砲(2018年11月21日、乗りものニュース編集部撮影)。

 カナダ軍は元々、女性を積極的に採用してきており、女性活用という意味では世界トップレベルの先進組織です。その歴史は古く、さかのぼること約130年前の1885(明治18)年には、看護師として女性がはじめて軍務についています。1989(平成元)年にはカナダ空軍において世界初となるCF-18(F/A-18)「ホーネット」戦闘機の女性パイロットが誕生し、さらに2001(平成13)年には、カナダ海軍の潜水艦要員の道が女性にも開放されました。そして2018年現在、カナダ軍は歩兵からパイロット、さらには特殊部隊に至る全ての職種を、女性に向けて解放しています。

「カルガリー」の艦内でも、確かに女性の姿をちらほらと目にしました。上述のような背景があることはもちろんですが、一方でそれは、リクルート問題対策のひとつという面もあるようです。

 2018年現在、主要国の軍隊では、いかにして十分な人員をリクルートするのかということが課題になっています。これは日本の自衛隊にとっても例外ではなく、たとえば昨今の少子化の流れを受け、防衛省は自衛官の採用年齢上限を26歳から32歳へと引き上げました。カナダ軍もまた、昨今の厳しい人員募集状況を背景のひとつとして、女性のさらなる活用を推し進めています。

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コメント

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2件のコメント

  1. なーるほど、帆船時代だと風というものは船を追い越していく存在だったのか。動力船しか乗ったことのない人には丁寧に説明されないと気が付かない世界だな。

  2. HEADって海軍用語でトイレのことですよね。「FEMALE HEADS」って女性用トイレってことで、「緊急時および義務の履行を除き、FEMALE HEADSは男性と隔絶される」とは緊急時や有事以外では男性立ち入り禁止って事じゃないですかね。