「スムース横断歩道」登場 「歩行者優先」守られていない横断歩道

交通事故減少、しかし歩行者事故は多い日本の現実

 今回の実験は、地域住民やPTA、警察、横浜市、そして国土交通省横浜国道事務所が連携して発足させた交通安全対策協議会の取り組みです。横浜国道事務所によると、ETC2.0のプローブ情報(実際にクルマが走行した位置や速度などの情報に基づき生成された道路交通情報)から中山町地区周辺の情報をピックアップして解析し、その結果に基づいて対策方針が決まったそうです。

 いま、国土交通省が力を入れている課題のひとつが、このような生活道路の安全対策です。同省によると、2017年における自動車乗車中の交通事故死者数はG7(日本、アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア)で最も低い一方、歩行中および自転車乗車中の死者数は人口10万人あたり2.0人と、G7でワーストです。

 このため国土交通省では今回の実験と同様に、同省が保有するETC2.0のプローブ情報を活用した生活道路の交通安全対策を、2018年10月末現在で全国367市区町村、757のエリアで進めています。「スムース横断歩道」やハンプの資材なども全国の地方整備局で貸し出しており、各地域でこのような社会実験が行われています。横浜国道事務所にも複数の地域から相談が寄せられており、同事務所では今後、ほかの場所でも社会実験を行っていきたいとのこと。

Large 181204 smooth 02

拡大画像

交差点全体にハンプを導入する例も(画像:国土交通省)。

 ちなみに現在、警察も自動車対歩行者事故の対策に注力しています。歩行者事故の多くが横断中に発生し、かつ信号機のない横断歩道の手前でクルマが十分に減速しない死亡事故も多発していることから、警察庁は10月に各都道府県警などへ「信号機のない横断歩道における歩行者優先等を徹底するための広報啓発・指導の強化について」を通達。2018年11月22日(木)から1週間、全国一斉のPRキャンペーンも初めて行われました。

 警察庁は前出の通達で、2020年の「東京オリンピック・パラリンピック」開催を控え、「歩行者優先が定着している諸外国からの訪日外国人観光客の増加が見込まれることを考慮すると、横断歩道上での安全確保に向けた対策を速やかに講じる必要がある」としています。今後さらに、安全な道路環境に向けたハード対策、交通ルールを徹底させるソフト対策の両面が進んでいくかもしれません。

【了】

この記事の画像をもっと見る(6枚)

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。

1件のコメント

  1. > また、横断歩道を渡ろうとする歩行者がいる際、クルマは手前で一時停止しなければなりませんが、......

    守られてない。残念なことに。
    自分は、横断歩道には歩行者でなくクルマで通ることの方が多いが、横断しようとする歩行者を対向車線側に見つけて止まっても、対向車はそのまま通過していく事も多い。

    横断歩道とは、車道に見えても歩道である。(車道を横断している歩道。歩行者優先。)この事を運転免許取得時やや更新時にもっと強く指導すべき。この記事の様な横断歩道は歩道であることの主張が強くて、生活道路には普及を進めるべきだと思う。(速度低下で渋滞の元になるから、幹線道路にはやらないで。)

    一方で、横断歩道付近でおしゃべりしてるご婦人がた、安全確認せず渡ろうとするご老人や学生等、歩行者ももう少し考えて欲しいなぁと思うことも多々ある。これも残念なことに。