海外での邦人保護、自衛隊はどう動く? 鳥取の陸海空舞台に「邦人保護措置訓練」実施(写真31枚)

武器使用も認められる「在外邦人等保護措置」、でもその前に

 邦人輸送任務に当たるのは、スピーカーや暴徒対処用「秘密兵器」を装備した、軽装甲機動車と輸送防護車で編成された誘導輸送隊です。「輸送防護車」は、海外の邦人を陸上輸送することを目的にオーストラリアから輸入された装甲車で、10名が乗車でき、特に地雷や道路に仕掛けられた爆発物に対する防御に優れています。陸上自衛隊中央即応連隊に8両が配備されており、航空自衛隊のC-130、C-2輸送機で空輸することが可能です。

 これら装甲車は機関銃を装備していますが、暴徒対処用の「秘密兵器」として音響兵器、通称「LRAD(Long Range Acoustic Device)」が装備されている車両もあります。これは特定の方向に指向性のある音波を投射して、強烈な不快感を一時的に与え、なるべく危害を与えず暴徒を遠ざけるものです。アメリカ軍をはじめ各国軍、警察で採用されており、効果が認められています。

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LRADを作動させながら前進する輸送防護車。陸自隊員が後ろに続く(2018年12月13日、月刊PANZER編集部撮影)。
前進する中央即応連隊の隊員。89式小銃は上に向けている(2018年12月13日、月刊PANZER編集部撮影)。
集合場所となったJICA事務所に到着した輸送防護車。集まっていた邦人を車内に収容する(2018年12月13日、月刊PANZER編集部撮影)。

 また誘導輸送隊は偵察用に、UAV(いわゆるドローン)も装備しています。カナダ・エリヨン社製の「スカイレンジャー」で、折り畳み可能であり、専用バッグに入れ隊員が背負って運搬できます。市販ドローンより高性能で、悪天候時でも飛行が可能、取材当日も雨天でけっこう風もありましたが、安定した飛行を見せていました。

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中央即応連隊の本部管理中隊が運用するUAV「スカイレンジャー」(2018年12月13日、月刊PANZER編集部撮影)。
UAVは折り畳んで専用バックに収納できる(2018年12月13日、月刊PANZER編集部撮影)。
UAV専用バックはひとりで背負って運搬できる大きさ(2018年12月13日、月刊PANZER編集部撮影)。

 誘導輸送隊は暴徒から少し距離を取って、スピーカーから英語で「こちらは日本の陸上自衛隊です」「我々を通して下さい」「解散して下さい」「代表者と話をさせて下さい」などと呼びかけます。また日本語で、集合場所内にいる邦人に向けて、陸上自衛隊が来たことを伝えます。

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移動準備が出来るまで周辺を警戒する(2018年12月13日、月刊PANZER編集部撮影)。
邦人を収容し移動を開始する(2018年12月13日、月刊PANZER編集部撮影)。
邦人の脱出を確認したのち輸送防護車に乗り込む陸自隊員(2018年12月13日、月刊PANZER編集部撮影)。

 しかし暴徒は解散する様子を見せません。投石も始まりました。ここで“秘密兵器”LRADの登場です。強烈な音波を発しながら装甲車隊が急速前進し、暴徒を追い散らして集合場所に入り、なかにいる邦人を輸送防護車に収容。こうして邦人は空港に向かいます。

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空港到着、輸送防護車から仮設の国際線ターミナルへ向かう。全員ヘルメットと防弾ベスト着用、黄色線のベストは外務省職員(2018年12月13日、月刊PANZER編集部撮影)。

 取材公開された想定では、暴徒は銃など火器を所持しておらず、比較的スムーズに救出ができましたが、当然、武装している場合の訓練も実施されています。しかし作戦の「手の内を明かす」ことにもなるので訓練は公開されていません。

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コメント

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1件のコメント

  1. 未だに日本が国外を武力を行使し辛い事の深刻さを知ろうともしない輩がおる