相鉄、矢継ぎ早に新型車両を2種類導入 わざわざ別タイプを用意する事情とは

保安装置だけではない「根本的」問題

 軌間(レールの幅)などが同じでも、列車を自動的に停止させる保安装置などは、各社ごとに異なることが多いです。そのため、JR線直通用の機器を搭載した車両と、東急線直通用の機器を載せた車両が、それぞれ必要になったという面もあります。

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2017年に完成した20000系電車は、相鉄の従来車に比べ車体の幅が狭くなっている(画像:相鉄)。

 しかし、それだけではありません。相鉄は東急の車両と「規格」が根本的に異なるため、2種類の新型車両を導入しなければなりませんでした。

 その規格とは「車両の大きさ」。JRと相鉄の従来車両はほぼ同じ大きさで、幅は2900mm台。一方、東急の車両や東急線に乗り入れている東京メトロ南北線などの地下鉄車両は2700~2800mmくらいで、JRや相鉄より狭いのです。車両の大きさにあわせて確保されている線路のスペースも、東急線や南北線などはJR線や相鉄線に比べ、狭くなっている部分があります。

 そのため、車体の幅が広いJRと相鉄の従来車両は、東急線に乗り入れることができません。そこで相鉄は、従来の車両より幅を狭くした東急線直通用の20000系と、従来の車両とほぼ同じ幅にしたJR線直通用の12000系というように、2種類の新型車両を開発したのです。

 ちなみに、先に直通運転を開始するのはJR線対応の12000系ですが、その3年後に東急線へ直通する予定の20000系のほうが先に完成しています。直通開始のスケジュールに合わせるなら、12000系を先に完成させてから20000系を製造しても良かったはずですが、これも相鉄と東急の違いが影響しています。

 相鉄は2002(平成14)年以降、JR東日本の通勤電車と同じ仕様の車両を導入。車両の大きさだけでなく、さまざまな機器類もほぼ共通です。これに対して東急と相鉄の車両は機器類の配置などが異なるため、相鉄の社員も「違い」に慣れておかなければなりません。そこで相鉄は、東急の仕様にあわせた20000系を先に導入し、社員の訓練期間を長く取れるようにしたのです。

【了】

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