【空から撮った鉄道】新幹線200系「最後」の姿を都心の空から捉えた(写真12枚)

東海道・山陽新幹線の0系電車と同様、「団子っ鼻」のスタイルが特徴的だった東北・上越新幹線の200系。上野東京ラインの工事が進んでいたころ、200系の引退記念列車を空から捉えました。

「E6系と桜」を撮影するはずが…

 2013(平成25)年3月30日。天候はあまりよろしくない曇天。しかし東京都心は満開の桜です。東京の街には、この年の3月16日ダイヤ改正にあわせて投入されたE6系「スーパーこまち」が走っていました。

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200系の特別列車「さよなら200系やまびこ号」。左脇には撮影の2年後に開通した上野東京ラインの真新しい線路が見える(2013年3月30日、吉永陽一撮影)。

 私はE6系の紅色屋根が架線の汚れなどで変色しないうちに、あの紅色と桜を空撮で絡めたいと、3月に入ってから開花状況をつぶさに確認していました。東京の満開は3月末。うーん困った。晴れぬではないか……。週間天気は無常で、直前でも曇天を示します。

 満開は30日くらいか。曇り予報でも影が映らないから寄りだ。E6系はとうに走っているが、まだ車体は鮮やかな紅色だなぁ。では、30日に空撮しようと予定を組みます。

 あれ? ひょっとしたら、その日は200系(K47編成)の特別列車「さよなら200系やまびこ号」が盛岡からやってくる日ではないか。200系は3月16日のダイヤ改正で定期運用からは引退していましたが、その後1か月ほどは引退記念の特別列車が運行されたのです。

 200系とE6系、新旧の新幹線車両が同じ時間に東京駅で並びます。曇天だけど満開とE6系と200系が狙えるならば、一粒で三度美味しいというか、東北新幹線の歴史の一幕を垣間見られるようでうれしい一幕。これは両車撮りこぼさぬようにせねばと、カメラのグリップを握る手はいつもより力が入ります。

 撮影区間は東京駅から北側とし、200系の東京行きを狙います。地下駅の上野を発車してから数分後には秋葉原駅の脇を上がってくるので、タイミングを見計らって秋葉原駅上空を旋回。雲が低く立ち込める条件で日照は期待できず、200系の空撮方法はワイドレンズの引きよりも望遠レンズの「寄り」でディティール重視にしました。

 いきなりの条件変更はしょっちゅうあるので、私は気象の目の前の現況を見て「今日はどんなあんばいでいくかな?」と考えます。レンズの選択、ISO感度の設定、飛行高度やバンク角度の設定などなど……。

 ほどなく200系が秋葉原駅の東脇から顔を出します。そのシーンをすかさず撮影し、あとは追尾です。

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秋葉原駅付近から姿を現した「さよなら200系やまびこ号」(2013年3月30日、吉永陽一撮影)。

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Writer: 吉永陽一(写真作家)

1977年、東京都生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、建築模型製作会社スタッフを経て空撮会社へ。フリーランスとして空撮のキャリアを積む。10数年前から長年の憧れであった鉄道空撮に取り組み、2011年の初個展「空鉄(そらてつ)」を皮切りに、個展や書籍などで数々の空撮鉄道写真を発表。「空鉄」で注目を集め、鉄道空撮はライフワークとしている。空撮はもとより旅や鉄道などの紀行取材も行い、陸空で活躍。

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