旧海軍高雄型重巡に幻の5番艦 アメリカ生まれ砂漠育ちの「ミューロック・マル」とは?

旧日本海軍の高雄型重巡洋艦は「高雄」「愛宕」「摩耶」「鳥海」と4隻が建造されましたが、実は幻の、5隻目の高雄型が存在しました。建造されたのは当時の敵対国アメリカ、しかも砂漠のど真ん中で、といいます。どういうことでしょうか。

高雄型「5番艦」、浮かぶは砂漠のど真ん中

 T-799の構造は木材フレームと金網からなり、その全長は198mありました。実際の高雄型が203mですから、ほぼ実物大であったといえます。T-799は1943(昭和18)年8月、ロサンゼルスから北北東へ約100km、カリフォルニア州ミューロック陸軍航空基地近郊の、ミューロック乾湖の湖上南端において完成します。

 つまりミューロック乾湖に建造された、日本海軍の船を模した標的であるから、ミューロックの地名に日本の艦船に多用される「丸(maru)」をつけ、「ミューロック・マル(Muroc Maru)」と愛称が付けられたのです。

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ミューロック乾湖に建設された高雄型爆撃標的「ミューロック・マル」と、その上空にB-25。湖は、現在は「ロジャース乾湖」と呼ばれている(画像:アメリカ空軍)。

 ミューロック乾湖はモハーベ砂漠にあり、周囲に比べてやや低い場所であるものの、普段は流れ込むような河川もなく、さらに降水量よりも蒸発量のほうが遥かに大きいため、その名が示す通り干上がった湖です。そして112平方キロメートルにもおよぶ乾いた湖底は、地球の曲率よりも平坦な粘土質の砂漠となっています。陽炎が発生した場合などは、そのひたすら平らな湖底に浮かぶ「ミューロック・マル」が、まるで本当に海上を航行してたように見えたといわれます。

「ミューロック・マル」完成のおよそ半年前である1943年3月、アメリカ陸軍は「スキップボミング」と呼ばれる爆弾投下方法によって、旧日本軍に大打撃を与えています。スキップボミングとは艦船を攻撃する際、低空で爆弾を投下し、「水切り」と同じように海面で爆弾を跳ねさせ船の側面を狙うものであり、高い有効性を実証しました。

 海面に似たミューロック乾湖の、湖底にあった「ミューロック・マル」は、スキップボミング訓練のための絶好の標的となり、P-38戦闘攻撃機のパイロット、およびB-25、B-24爆撃機搭乗員の育成に使われることとなります。

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コメント

2件のコメント

  1. すごいですね、、

    砂漠の真ん中に建てたこと自体もそうですが高雄型がモデルの標的艦なんて初耳でした。

    勉強になりました。

  2. 後の砂上艦だったりして

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