旧海軍高雄型重巡に幻の5番艦 アメリカ生まれ砂漠育ちの「ミューロック・マル」とは?

旧日本海軍の高雄型重巡洋艦は「高雄」「愛宕」「摩耶」「鳥海」と4隻が建造されましたが、実は幻の、5隻目の高雄型が存在しました。建造されたのは当時の敵対国アメリカ、しかも砂漠のど真ん中で、といいます。どういうことでしょうか。

浮かんだ「湖面」は、やがて航空技術の先進地へ

 前記の通り、「ミューロック・マル」は終戦まで使われ続け、そして彼女は終戦後もそこに置かれ続けました。つまるところ必要がなくなったため、砂漠に放置されていたわけです。

 ミューロック乾湖では1946(昭和21)年にテストパイロット、チャールズ・イェーガーが操縦するベルX-1によって、世界初の超音速飛行が実施されます。乾湖に世界初の飛行機によるソニックブーム(衝撃波)が響き渡ったその時も、「ミューロック・マル」はそれを見守り続けていました。

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雨上がりのロジャース乾湖(旧ミューロック乾湖)。すぐ乾いてしまうが、こうした日は「ミューロック・マル」も本物の巡洋艦に見えたに違いない(画像:NASA)。

 しかし、それもあまり長くは続きませんでした。ミューロック乾湖の平坦で硬い湖底は、ほとんどそのまま滑走路として使えたため、以降この地はアメリカにおける航空機開発・試験の中心地となります。そして1950(昭和25)年、障害物となりかねない「ミューロック・マル」は解体されてしまいました。時同じくして、アメリカ陸軍航空隊はアメリカ空軍として独立。ミューロック乾湖は「ロジャース乾湖」と改名され、そしてミューロック航空基地もまた「エドワーズ空軍基地」と名を変えます。

 かつて旧日本海軍の重巡洋艦が浮かぶ“海面”だったロジャース乾湖の湖底は、10本以上の滑走路が整備され、うち1本は世界最長の約12kmにも達します。そこにはもはや「ミューロック・マル」の姿はありませんが、世界の航空技術開発において最も重要な飛行場、エドワーズ空軍基地に「ミューロック・マル」が存在した歴史は、脈々と受け継がれています。

【了】

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コメント

2件のコメント

  1. すごいですね、、

    砂漠の真ん中に建てたこと自体もそうですが高雄型がモデルの標的艦なんて初耳でした。

    勉強になりました。

  2. 後の砂上艦だったりして

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