秘密兵器「酸素魚雷」一斉発射「20発」!? 旧日本海軍の重雷装艦「北上」の一部始終

旧日本海軍の軍艦「北上」は、魚雷を片側20本一斉発射可能で、一般的な艦艇の2、3隻ぶんに匹敵する、まさに「重雷装艦」でした。しかも発射するのは秘密兵器「酸素魚雷」。強力な印象がありますが、実際どうだったのでしょうか。

当たらないならたくさん発射すればいいじゃない

「下手な鉄砲数撃ちゃ当たる」という言葉がありますが、これを魚雷で実際にやろうとしたのが、旧日本海軍の「北上」をはじめとする通称「重雷装艦」です。

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旧日本海軍の軽巡洋艦「北上」。1930年ごろ、重雷装艦への改装前に撮影されたもので、このころすでに旧式化していたという。

 太平洋戦争前、日本海軍はアメリカ艦隊に「戦艦同士の艦隊決戦」を挑んで、一気に勝利する戦略を立てていました。しかし、主力となる戦艦戦力はアメリカに劣ります。そこで、決戦前に少しでもアメリカの戦艦を減らしておく方法が研究されます。そのひとつが秘密兵器「九三式魚雷」、すなわち「酸素魚雷」です。砲撃戦が始まる前に遠距離から“雷跡の出ない(後述)”魚雷を打ち込めば、奇襲効果もあり敵を混乱させられます。

 とはいうものの遠距離からの雷撃(魚雷での攻撃のこと)では、命中率は良くありません。それでも雷撃を当てるためには、なるべく多くの魚雷を同時に発射する必要があり、多数の魚雷を扇形に発射する「公算雷撃」という方法が採られます。要は冒頭で触れた「下手な鉄砲数撃ちゃ当たる」です。そこで多数の魚雷発射管を搭載した「重雷装艦」が発想されます。

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コメント

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4件のコメント

  1. ソロモンとか水雷戦は結構あったんだからそこに居たらどんな活躍だったのか。勿体無かった。

  2. 島風より魚雷発射管の数多いんだ
    まともに戦っていたら大活躍の可能性アリ?

  3. 艦これとかいう萌豚御用達の擬人化ゲームでは強キャラらしいけど

  4. 1942.9には重雷装を解除?1942.8-11月に集中して餓島を巡る嘗てない規模の水雷夜戦が度々行われてたというのに…上は改装しながら後悔してたんだろうか…
    それとも古いから指揮艦能力が既に足らないと判断されてたんだろうか…
    ドイツやイギリスはこの手の特殊兵器でそれなりに成功してるイメージ。日本はほぼ失敗してるイメージ…