戦闘機パイロットはいかに強烈な「G」と戦う? ジェット戦闘機のネック その対策とは

「G」はなにも物理の授業だけのものではなく、エレベーターやクルマなどでも感じられる、身の回りにありふれたものでもあります。これが激しく大きい戦闘機の場合、どんな影響があり、どのような対策をしているのでしょうか。

耐Gスーツの原理と機体そのものへの工夫

「耐Gスーツ」は、脳や上半身の血液の降下を抑えるために開発された装備です。原理としては、エンジンから発せられる抽出空気をスーツ内のいくつかの袋に送り込み、その圧力で下半身を締め上げ、血液の降下を抑制するというものです。最大でマイナス1.5G程度の耐G効果があるといわれています。

 加圧のタイミングは、機体へかかる負荷が2G程度になると、自動で作動する仕組みになっているといわれています。Gが強くかかるほど、耐Gスーツには多くの空気が送り込まれ、パイロットの下半身を圧迫します。その圧迫はかなり強いようで、話を聞いたアメリカ海軍のパイロットによると「最大圧近くまで圧迫されると足を曲げることができなくなる」とのことでした。

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飛行準備をするアメリカ海軍のパイロット。耐Gスーツの上にはサバイバルベストや救命胴衣などを着用(写真:アメリカ海軍)。

 このほか、実は機体そのものにも工夫が施されています。それが座席の背もたれ角度です。

 Gに耐える工夫として、脳と心臓の高さを極力同じにするという方法があります。脳と心臓が同じ高さにあれば、脳の血液が降下することも無いという理屈で、極端にいえば、コクピットに寝そべってしまえば良いというものです。しかし、そうなると周囲の状況確認や操縦することが困難になり、戦闘どころではないでしょう。過去には、うつ伏せで操縦する機体の開発も行われましたが、どれも実験機が登場しただけで、実用化されたものはありません。

 この背もたれの角度ですが、たとえば航空自衛隊F-2戦闘機の場合には約25度の傾斜が付けられていて、F-16戦闘機の場合は30度程度になっています。座席をこの角度まで傾けることによって得られる効果は、マイナス1G程度であるといわれていて、耐Gスーツと合わせると、おおむねマイナス3.5Gほどの効果があるといいます。

 こうして、パイロットにかかるGに対する様々な工夫が施されている戦闘機ですが、パイロット自身も普段から自分の体にGの負荷をかける訓練を行ったり、呼吸法などによって自分自身で血流をコントロールしたりしています。

 戦闘機パイロットは、与えられた作戦を遂行するために、目やレーダーで見えている敵のほかにも、目に見えないGとも常に戦っているのです。

【了】

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1件のコメント

  1. 映画「ステルス」みたくAI戦闘機になればGと戦う必要無さそう

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