東急やJR東日本が伊豆で「交通サービス一体化」実験のワケ 観光客が増えても残る課題

伊豆エリアの交通サービスを手軽に利用できるようにするための実証実験が始まりました。様々な交通サービスをスマホの専用アプリで一体的に提供するもの。その背景には、観光客の増加と、公共交通が抱えている課題がありました。

観光地にMaaSを導入する狙い

 到着予想時刻になったころ、大型のタクシーが目の前で停車。運転席の脇にはタブレット端末が設置されており、地図や予約状況などが表示されていました。

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乗合タクシーのタブレット端末にはAIが判断した最適ルートが表示される(2019年4月5日、草町義和撮影)。

 伊豆急下田駅を目指してしばらく走ると、端末に新しい予約が入ったことが表示され、途中の乗降ポイントで停車しました。大勢の客が自分の目的地に合わせて予約を随時入れるため、効率よく回れるルートも随時変わります。そこで人工知能(AI)を使って最適なルートを随時設定し直し、乗合タクシーのタブレット端末に表示しているそうです。

 このほか、専用アプリはレンタカーやレンタサイクルの予約、観光施設の利用料の決済などにも対応。地域内の周遊がアプリひとつでできるようになっていました。

 MaaSは情報通信技術を活用することで、自家用車以外の交通サービスを一体的に提供しようというもの。鉄道やバスなどの公共交通だけでなく、タクシーやレンタカーなども含まれます。

 東急によると、伊豆エリアの観光客は2012(平成24)年以降、増加しているといいます。しかし、伊豆エリアには鉄道5路線、路線バス390系統、タクシー数社があるものの、観光客の約8割が自家用車を使っているとのこと。そこで東急やJR東日本などは「観光型MaaS」を導入しエリア内の交通サービスを利用しやすくすることで、自家用車以外の交通手段の利用促進を目指すといいます。

 実証実験は、第1期が4月1日から6月30日まで、続いて第2期が9月1日から11月30日まで行われる予定。第1期の期間中、乗合タクシーは無料で利用可能です。また、第2期ではオンデマンド乗合交通の自動運転も視野に入れているといいます。

 東急の担当者によると、専用アプリのダウンロード数は、4月1日から4日までの4日間で約1000件。目標は2万件だそうです。

【了】

【写真】専用アプリで使える鉄道やバス

Writer:

鉄道誌の編集やウェブサイト制作業を経て鉄道ライターに。2020年から鉄道ニュースサイト『鉄道プレスネット』所属記者。おもな研究分野は廃線や未成線、鉄道新線の建設や路線計画。鉄道誌『鉄道ジャーナル』(成美堂出版)などに寄稿。おもな著書に『鉄道計画は変わる。』(交通新聞社)など。

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コメント

1件のコメント

  1. MaaSを使って運行システムを高度化しても最後に車を運転するのはやっぱり人。

    その「人」がダメだとシステムだけ高度化しても意味がない。

    横浜でAIバスの実証実験に参加したのだが運転士がいかにもタクシードライバーという横柄さで嫌になった。

    乗る時は「QRコード出して!」と高圧的に言われるわ、運転中は急加速や急減速で乗り心地悪い、降りる時ありがとうございましたと言っても無視。

    乗せてやってる感丸出しで気分が悪かった。

    (降りたところで係員が待っていて実証実験アンケートに答えたのだがその人のフレンドリーさとは雲泥の差)

    こういうのは観光地自体のイメージに傷が付くので気をつけてもらいたい。