文化財に登録される「スイッチバック駅」、えちごトキめき鉄道の二本木駅を訪ねてみた
豪雪に対応した駅舎や雪囲い
列車は上越妙高寄りの引き込み線に設けられたホームで停車し、ドアが開きました。ホームに降りると、まず目に入ったのが待合室で、1935(昭和10)年に建築された古いもの。柱や梁(はり)は白、壁は赤っぽい色で塗られているのが特徴で、これが登録有形文化財になる建造物のひとつです。
続いて駅舎につながる地下通路へ。何の変哲もないコンクリート造りの通路のように見えましたが、これも70年以上前の1941(昭和16)年から1942(昭和17)年にかけて整備されました。戦前に地方の駅でコンクリート造りの地下通路が整備されたケースは珍しく、これも登録有形文化財になります。
駅舎に至っては、100年以上前の1910(明治43)年に建築されました。その後、何度か改修されて原型をとどめていませんが、2018年に行われた補修工事で、かつての姿が一部復元されています。
天井の近くをよく見ると、窓が設けられています。これは冬季の採光を目的とした「高窓」。二本木駅の一帯は全国でも有数の豪雪地帯で、駅舎の周囲が雪で埋もれると、外の光が入らず駅舎内が暗くなるため、高い場所にも窓を設けたのです。
「豪雪対応」はこれだけではありません。先ほど乗った列車が停止した引き込み線(長野寄り)の木造車庫らしき建物も、1922(大正11)年に建築された「雪囲い」というもの。雪が積もっても線路が埋まらないようにしたもので、明治末期に製造された国産の古レールを柱に再利用し、屋根と壁は木の板で構築されています。線路内には入れませんが、一部の列車は雪囲い内まで進入するため、車内から内部を見ることができます。
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